[司法書士]熟練が必要な印影照合を機器を使って簡単確実に

島根の司法書士、坂根(@sakane0958)です。
珍しく本職ぽい話です。

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結論から:ライトパネルを使えばいい

こちらの機器を使います(以下、「ライトパネル」と呼びます)。
私が購入した当時は7,500円ほどでした。

これを光源として、これの上に印鑑証明書、その上に委任状等の印影をぴったり重ね、印影が合致するか確認します。
コンパクトなので書類作業からスムーズに印影確認を行うことができますし、経験が少なくても印影の照合を自信を持って行うことができます。

印影照合の主流な方法

並べて見る

委任状と印鑑証明書の印影を近くに並べて見て、同じ印影かどうかを目視で確認する方法。
最も簡単で直感的な方法で、明らかに字体が違うとか、印鑑の大きさが全然違うような場合にはこの方法でも充分わかります。

ただ、「印鑑が違うことの確認」には使えますが、「同一の印影かどうかの確認」には使えません。
実際、司法書士が「印影を確認した」と言う場合には、この方法で「同じ印影だと思った」と主張しても通りません。

ペラペラ残像法

委任状と印鑑証明書を2枚ぴったり重なるように重ね、上の方の一枚を素早くめくったり戻したりしながら、残像にズレがあるかどうかを確認する方法。
熟練すれば、結構な精度で印影の違いを見分けられるようになるらしいです。

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重なった二枚の紙を上から見れば証明書の印影だけが見えますが、チョットめくれば重要書類の押印部分が見えます。 一点を指で押さえて、上の紙をパカパカ何度もめくります。 残像効果なのでしょうか、チョットでも …
”重なった二枚の紙を上から見れば証明書の印影だけが見えますが、チョットめくれば重要書類の押印部分が見えます。一点を指で押さえて、上の紙をパカパカ何度もめくります。残像効果なのでしょうか、チョットでも印字が違えばズレて見えるのでしょうね。”

ただ、長年やっていても自信が持てず、必ず上司にも確認してもらうようにしている、という人もいるようです。

銀行の人はどのようにして銀行印を照合するのですか – 今日、銀行の窓… – Yahoo!知恵袋
私は、不安なので立会人、もしくは上司に更に確認をとり、照合するようにしています。 …
”私は、不安なので立会人、もしくは上司に更に確認をとり、照合するようにしています。”

個人的には、ペラペラ残像法はあまり信頼できない方法だと感じています。
私自身もペラペラ残像法を練習してできるようになりましたが、あまり信用していません。

折り重ね法

印鑑証明書の印影を半分に折って委任状の印影に重ね、輪郭の大きさも比較しつつ印影も確認する方法。

♯2です。 折り重ね照合のことですが、例えば 田中 という 【OKWAVE】
それを 田と中 両方にかかるように まず 右斜め45度くらいに 折ります。それを もともとの 印鑑と照合します。そして 今度は 反対の 左斜め45度くらいに 折って 照合します。 枠の大きさが 異な …
”それを 田と中 両方にかかるように まず 右斜め45度くらいに 折ります。それを もともとの 印鑑と照合します。そして 今度は 反対の 左斜め45度くらいに 折って 照合します。 枠の大きさが 異なれば まず これで わかりますし、例え 枠の大きさが同じであっても、田 や 中 の 線の角度が ずれてしまうと 違う 印鑑であるということになります。”

印影の確認において、「字体は同じだが輪郭の大きさが違う」パターンは結構あって、有用な確認方法の一つとして認知されていると感じます。

また、ペラペラ残像法と併用される場合もあるようです。

印鑑照合 : たらんたらん書きます_φ( ̄ー ̄ )
もしそこで微妙に違う感じがするぞ、と思った時は 折り重ね照合 とゆーのをやります。 伝票や書類のハンコの部分を斜め半分/に折って 届け出印鑑紙のハンコと重ね合わせます。 そしてパタパタと伝票を素早 …
”もしそこで微妙に違う感じがするぞ、と思った時は 折り重ね照合 とゆーのをやります。 伝票や書類のハンコの部分を斜め半分/に折って 届け出印鑑紙のハンコと重ね合わせます。 そしてパタパタと伝票を素早くめくったり重ねたり”

ペラペラ残像法よりも曖昧さ・直感の入る余地が少なく感じます。
ただ、「部分的な照合」に留まる感が強い方法です。

重ね透かし法

委任状と印鑑証明書を重ねて、ぴったり重なるかどうかを見る方法。
委任状が薄い紙なら光が無くても確認できるかもしれませんが、たいていの場合には光が必要

蛍光灯を光源にして空中でやってみるとわかりますが、空中でやるのはなかなか大変です。
まっすぐに押印されていないことが多いので、ぴったり重なる配置は斜めになることがほとんどですし、印影がぴったり重なるようにしつつ、二枚の紙の間に隙間ができないように微調整するのは、意外に難しい。

ペラペラ残像法ほどではないにせよ、熟練が必要な方法だと思います。
精度については、ここまでの4つの方法の中で一番確実。

窓ガラス重ね透かし法

日中、窓ガラス上で印鑑証明と委任状を重ねることで印影照合を行う重ね透かし法の一種。

印鑑照合: 司法書士木村事務所のブログ
何か違う気がする。 ほとんど同じなのだが、苗字の二文字目の最後のハネの部分が明らかに違う。 そこで、二枚を重ねて窓の所に行き、お日様にかざして照合してみた。 印鑑照合にはいろいろな方法があるが、私は …
”何か違う気がする。ほとんど同じなのだが、苗字の二文字目の最後のハネの部分が明らかに違う。 そこで、二枚を重ねて窓の所に行き、お日様にかざして照合してみた。印鑑照合にはいろいろな方法があるが、私はいろいろと試した後でどうしても納得が行かないときには、最後はこの極めて原始的な方法で照合することにしている。”

ライトパネルを購入するまでは、自分も事務所ではこの方式でやっていました。
窓ガラスが平面なので、紙を重ねた後の微調整がやりやすく、印影をぴったり合わせるのがスムーズ。
昼間であれば光量も充分です。

窓ガラス重ね透かし法の欠点

日が暮れると使えないところ。
また、外出先でも使えない場合が多いです。銀行の応接室、窓のない部屋が多いですから。

「ライトパネル」方式の利点

確実な印影照合

ペラペラ残像法よりも確実に確認できます。
とてもよく似た印影でも「ここのハネの角度が違う」とか、「どうグリグリ回してもぴったりには重ならない」という違いを判別することができます。

場所と時刻を選ばない

窓が無くても、夜でも印影照合ができます。
自分のデスクの上でも、決済現場の銀行のテーブルでも。

落ちついて印影照合ができる

お客様を前にしての印影の照合、実は結構気を遣います。
というのも、銀行や宅地建物取引士の方にとっては、司法書士が印影の照合をするのは当たり前ですが、お客様にとっては「自分が実印だと言っているのに信用できないのか?」と気分を害する方もいらっしゃるからです。

誤解を防ぐために、一言添えてから印影の照合するようにしてはいますが、そういう雰囲気を感じながらの空中透かし方式の印影照合は、普段より緊張してなかなかうまくできなかったりします。
司法書士としては、売主だけでなく買主に対しても責任があるので、印影照合は曖昧に済ませるわけにはいきません。
合ってるに決まってるだろ、いつまで確認してんだよ」という雰囲気を感じながらの印影照合は、とても疲れますね。

そんなとき、ライトパネルで印影照合を行えばスムーズであるだけでなく、お客様にも「自分が信用されていないわけじゃなく、いつも業務として印影の照合をしているんだな」と感じてもらえるのではないか、と思っています。
この司法書士は決済の時にはいつもライトパネルを持参して毎回印影照合しているんだろうな、と思ってもらえるでしょうから。

話のネタになる

ライトパネルで印影照合する司法書士は珍しいので、印影照合していると「そんなものがあるんですね」と、よく話しかけられます。
逆に、印影照合している最中に話しかけられることが多いので、集中できない、という面もあります。

編集後記

このLEDライトパネルにたどり着くまでには、「スマホ裏面のライト」や「液晶面を一面白く光らせる」ことで同様のことができないか、試行錯誤したこともありました。
できるだけ物を増やしたくないので、手元にあるもので実現出来るならそれが一番です。

スマホのライトは、光の強さが一点集中で、しかもスマホの裏は平面でないのが使い辛くNG。
液晶面をアプリ等で白色で光らせる方針は光の強さが足りず、実用に到りませんでした。

また、司法書士の業務用品を取り扱う業者さんのカタログの中に「印影確認器」としてLEDのライトパネルが出てきますが、1~3万円の強気の価格設定です。
欲しいのは、「平面の造りで持ち運びができる光源」という単純な機械なのですが。
こういう印影照合システムに20万円かかるのはわかりますが(買うかどうかは別問題ですよ)、LEDを電池で光らせるだけの機械に出せるのは一万円が限界です。

方針を変えて写真のネガ等を確認するライトパネルの中から探し始めた後にも、さまざまなスペック、サイズのものがありました。
価格やサイズ等のバランスが一番しっくりくるのが今回選んだライトパネルでした。

ちなみに充電式でなく単4電池で駆動するので、決済直前に「しまった!充電してない!」というトラブルも起こりません。
単純な機械だと思うので、そうそう故障もせず長く使えるのではないかと思っています。

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初対面であれば、住所、氏名、生年月日等々の情報で確認していくわけですが、同居している双生児の片方が取引の当事者だった場合、どのようにして本人確認をすれば安全でしょうか?

住所も生年月日も同じ。
容貌もほぼ見分けがつかないでしょうね。
この問題に対して、私ならこうする、という答えを思いついたので記事にしましたが、あなたならどうします?


なお、アイキャッチ画像の「坂根」認印画像は白舟書体のWeb認印からダウンロードした画像を使用しています。
実在する印鑑からとった画像ではありません。

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