島根の司法書士、坂根(@sakane0958)です。
アナログとデジタルが入れ替わる時代に生まれた登記識別情報、初期の「シール時代」は暗黒の時代の一つではないでしょうか。
癒着して剥がれないシールが存在する。
しかも、きちんと剥がれるかどうかは、剥がしてみるまでわからない。
手続に安全を求める司法書士にとって、恐ろしいトラップです。
剥がれないときには法務局で交換してもらえる取り扱いも始まりましたが、法務局が近くない事務所にとっては大きなリスクです。
シールがスムーズに剥がせれば少しでも実務が楽に回せますので、シールの構造を探ってみました。
シールを水に浸けてふやかしてみたり、禁忌と言われているハーガスを使うとどうなるのか検証したり。
シールの構造
↑剥がす前のシールの構造です。
↓正常にシールがはがれる時には、③と④の間が分離します。
暗号はどこに印字されているのか?
登記識別情報の暗号の印字は、⑤の台紙に印字されていると考えます(詳細は後述)。
一定確率で「癒着シール」が存在する
正常なシールの場合、普通に扱えば①②③が分離することはありません。
ただ、③④の接着が強力過ぎるシールにおいて、②が破れて③が④にくっついたまま残ることがあります。
この時にカッター等で③のみをはがすことは容易ではありません(物理的に不可能ではないけれども)。
ちなみに、個人的な経験では癒着している箇所はほとんど真ん中の下の辺り↓。
↑こちらの記事でも、真ん中の下の部分が癒着しています。
この要注意ゾーンを踏まえた剥がし方を、そのうち別記事で考察したいと思っています。
切手はがし液(ハーガス、ハガロン)
何人もの先人達が挑戦してきた方法ですが、切手はがし液は絶対に使ってはいけません。
切手はがし液で剥がしたときに、どこが剥がれるかというと、④と⑤が分離します。
⑤の台紙が脆くなって破れる、という感じ。
印字部分は台紙からもげて、④のビニール層にくっついてきます。
そうなると、③のビニール層が真っ黒なので、このままだとどうやっても読めない状態に陥ります。
こうなってしまうと、とても薄い④を分離する難作業が待っている。
法務局で交換してもらう手が取れるなら、そうした方がおそらく早いです(この時点で暗号と台紙が分離してしまっているので、暗号と台紙が同じ識別情報のものである、ということが証明できない状態になっており、法務局で嫌がられるであろうことは想像できますが。。。)
がんばれば読み取れるかも?などと考えないこと
暗号部分の実物を見たことがある方はご存じと思いますが、暗号部分はものすごく薄い印字になっています。
暗号を囲う四角い枠と比べても格段に薄い。
なので、すぐそこに触れる状態で存在するにもかかわらず、真っ黒の③が密着している状態で裏側から暗号を読み取ることは不可能なのです。
ハーガスで剥がしてみてから考えよう、などと考えてはいけません。
ハーガスは確実に状況を悪くします。
余談
①のシール表面は光沢があるけど、紙質の素材
水に浸けると、②が水を吸って①にひび割れが入ります。
光沢があるのでビニール系の素材かと思いきや、そうでもない様子。
だから何?って情報ですが。
とにかく、水分や薬品を使って剥がすのが楽になることはありません。
状況を困難にするだけ。
使うとしたらアイロンにしましょう。
消しゴムで摩擦熱をかけると楽になる、という情報もありました(私は未検証です)。
「暗号は⑤の台紙に印字されている」と考える根拠
癒着した③をカッターで剥がしていった際、一緒に④も剥がれてしまって⑤が裸状態になったことがありました。
④に印字されているとしたら、暗号も④と一緒に取れてしまったと思いますが、その時は暗号は⑤の台紙に残っていたと記憶しています。
その時の経験が根拠。
なお、今回の一連の実験の中で、裸にした④においても印字が読み取れました。
⑤に印字されているという考えと矛盾するようにも思えるのですが、④と⑤の接着はかなり強いので、⑤から④を分離しようとすると⑤の表面が④の方に持っていかれてしまいます。
裸にした④においても、④にうっすら残った⑤が読めるのだと考えると、辻褄は合います。
編集後記
夏休みの自由研究みたいなノリで調べてみました。
小学生のころも、こういう身近な興味をテーマに研究できていたら、自由研究も楽しんで取り組めたのでしょうね。
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