[土地家屋調査士試験]書式の答案作成で気を付けていること-その1

土地家屋調査士試験

土地家屋調査士試験への挑戦3年目の受験生です。
答練では土地も建物も個別でA判定取ったことはなく、土地建物合算の成績ではC判定までしか取ったこと無いので、人様に教えられるような実力でもないとは思うものの、自分が書式に取り組みながら見えてきたこと、注意していることをお伝えしてみたい。

受験生なら当たり前の常識ばかりかもしれないが、自分の場合は繰り返し解く中で見えてきたもの。
土地家屋調査士試験の書式に苦戦している方に一つでも役に立つ情報があれば幸いです。

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これを書いた人の書式演習量は↑こんな感じ(答練等の図面は含まず)。

  1. 関数電卓
    1. 関数電卓でM+使う前に「0→STO→M+」することを習慣化する
    2. 土地:X軸がマイナス座標の時の変数入力、ACしてから入力することを習慣にする
    3. 土地:算出した座標が見取り図の位置上、違和感無いか他の筆界点と比較する
    4. 土地:複素数モードで面積計算、できるだけABCD・・・と正順で巡るようにする
    5. 土地:AconjgB+BconjgC+・・・のチェックに時間をかけない
    6. 土地:複素数モードで面積が虚数で出る→iをかければ実数になる
    7. 土地:交点計算に着手するのをためらわない
    8. 土地:交点計算の傾き、切片のabcdに電卓のxyの変数を使わない
  2. 作図
    1. 土地:座標のMin、Maxをそれぞれ把握してから描き始める
    2. 土地:座標のX、Yを刻む際、先にXを下から上まで、Yを左から右へ、と順番を決め打ちしておく
    3. 固定定規を動かす回数をできるだけ減らす
    4. 建物:鉛筆下書きは横線のみ引いて、縦線はボールペンで清書
    5. 建物:筆界から外壁面までの距離も最初からボールペンで描きたい
    6. 土地:筆界間の距離、問題文等から明確なものを記入してからABS関数に移る
  3. ミスを減らす、情報把握の効率化
    1. 申請人とそれ以外を区別する
    2. 色を使い分ける
    3. 見取り図に転記する際、頭の中で「テン」を読まない
    4. 見取り図に転記する際、数字を大きめに書く
    5. 土地:変数に入力したら、記号を囲う。異なる記号に入れる場合は付記。
    6. 土地:式をメモしてから電卓を叩く
    7. 解いて採点した後、前回、前々回の記録と比較する
    8. よく間違えるもののリストを作っておき、本番前に見返してから臨む
    9. 仕上げた後に作成者でなくチェック者の観点で見返す
    10. 全容把握にかける時間を惜しまない
    11. 消しゴムに時間をかけない
    12. 土地:杭の種類は最後に書く
    13. ヒゲ線は問題用紙に解答用紙を重ねて線を引く
  4. 編集後記

関数電卓

関数電卓でM+使う前に「0→STO→M+」することを習慣化する

勉強始めた初期に、Mに前回の変数が入ったまま計算してしまって間違うことがあった。
Mの中身を確認するより、0で上書きした方が早い。

土地:X軸がマイナス座標の時の変数入力、ACしてから入力することを習慣にする

筆界点を変数に入力する際、X軸がマイナスだとA入力、B入力・・・と入力していく際に、続けて入力するとB入力の際に「Ans-・・・」という形でAの座標から引く形になってしまい、Bの変数に間違った数字が入ってしまう。
ちゃんと電卓を見ながら作業していれば気付けるが、習慣化して先回りした方がスムーズ。

土地:算出した座標が見取り図の位置上、違和感無いか他の筆界点と比較する

A  B
    
C  D

この4点の中にあるはずのE点を算出したとして、X座標がABより下、CDより上の数字になっているか、Y座標も同様に想定範囲内か、ということを検算代わりに確認している。
みんな普通するよね、とは思う。

土地:複素数モードで面積計算、できるだけABCD・・・と正順で巡るようにする

ABCDXと筆界点があったとして、右回りで追っていっても左回りで追っていっても面積は出るが、XDC・・・と追うよりABCDXAと追っていった方が脳がラク。

土地:AconjgB+BconjgC+・・・のチェックに時間をかけない

自分の場合、あまりここで計算ミスをしたことがないのだが、操作がたくさんあるので不安になってABCDAと見取り図をたどり、電卓の入力を確認し、とチェックに手間暇かけてしまう。

そもそも時間が足りない試験なので、ミスしないなら時間をここにかける必要も無い。
もし今後ミスが出てきたら、その時にまた対策を考えればいいかな。

土地:複素数モードで面積が虚数で出る→iをかければ実数になる

AcongB+BconjgC+・・・で面積を出した際、面積が虚数で算出される。
地積更正の要否確認のために登記簿の地積と引き算するのに、この算出値をそのまま使えたらスムーズ。
計算結果にiをかけると実数になる。

土地:交点計算に着手するのをためらわない

答練や本試験で交点計算の出題に当たった時、交点の座標が出ていなくても図面は描けることが多いので、座標を出すのがちょっと面倒臭いと思ってしまう傾向が自分にはある。

実際にとりかかってしまえば、そんなに時間かからなかったりするのだけれども、着手するまでに覚悟が要る感じがある。
これを迷い無く計算に進むようにした方が、土地の成績が良くなる自覚がある。今の実力なら、迷う時間が無駄。

土地:交点計算の傾き、切片のabcdに電卓のxyの変数を使わない

y=a+bx、y=c+dxの形の交点計算を2回やろうとしたときだったと思うが、y=e+fxの次に「さて変数が足りないな」と思ってy=x+yxみたいに変数を使おうとしたことがあった。
「電卓のxもyもA~Fまでの変数と機能は変わらないのだから」という発想で使える順に使ってしまったのだが、これは毎回混乱をきたして計算ミスを誘発する結果となった。

自分の中では禁忌とすることにした。

作図

土地:座標のMin、Maxをそれぞれ把握してから描き始める

枠の中に収まるように、描き始める前にX軸とY軸のMin、Maxを把握して縦と横とどっちがギリギリになりそうかを検討した上で軸を決める。

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土地:座標のX、Yを刻む際、先にXを下から上まで、Yを左から右へ、と順番を決め打ちしておく

特に初学者の頃、XとYの数値を読み取り損なって筆界点をプロットしてしまうことがあった。
見取り図と比べて変なとこに出てくることも多いので、どこかの段階で気が付くこともあるのだが、良くない。

適当に目に付いたところから転記していくよりも、X軸ならX軸を下から上に方向性を持って順に作業していく方が、作業が単純になってミスが減るような気がしている。

固定定規を動かす回数をできるだけ減らす

固定定規を配置し直す作業、気を使うのであまり好きではなくて、頻繁にやりたくない。
固定定規を移動させる前に、今のゾーンでプロットの取りこぼしが無いかどうかを確認してから次に移るようにしている。

建物:鉛筆下書きは横線のみ引いて、縦線はボールペンで清書

鉛筆で四角を全部描いてからボールペンで清書する必要は無くて、縦か横かいずれかを鉛筆で長めに引いて、必要なところをボールペンで結ぶ形にすると少し時短になる。
自分は横を鉛筆で引いて、縦線をボールペンで結ぶようにしている。
鉛筆縦線を描く時間が無くて済むし、消しゴムかける手間も無くて済む。

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建物:筆界から外壁面までの距離も最初からボールペンで描きたい

ボールペンで建物の形状を墨入れをする前に土地の筆界を鉛筆書きしておくと、配置距離の直線についても省力化できる。
これはまだ自分の中では習慣化までいってなくて、意識している段階だったりする。

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土地:筆界間の距離、問題文等から明確なものを記入してからABS関数に移る

筆界点間の距離を最後に記入することにしているのだけれど、図面を見ながら目に付いた端から計算していくと、見たことある数字だったりすることがある。
それが問題文に最初から提示してある距離だったりすると、無駄な作業をしたということ。

明確な数字は最初に記入してしまい、それからABS関数に取りかかるようにする。

ミスを減らす、情報把握の効率化

申請人とそれ以外を区別する

問題文の冒頭、誰が申請人なのかが出てきた時に赤マーカーでマークするようにしている。
そして問題の全容を把握する間、この申請人については意識において問題を読み進めるようにしている。

申請人からの素直な申請なのか、代位等の論点が絡むのか、判断できないと申請書書けないから。

色を使い分ける

ピンク、黄緑、オレンジの3色のマーカー・3色ボールペンで情報を整理して問題を分析し、答案構成の情報整理をしたりしている。
自分の土地家屋調査士試験の師はLECの木村真弓先生なので、この3色を使うようになったのは木村先生の影響。

司法書士試験に取り組んでいたときには色の活用はしたことがなくて、鉛筆でグルッと印を付ける形でのマーキングだったので、3色のマーカーを使うようになった当初は、いちいちマーカー持ち替える手間が面倒だな、と感じたりもしていた。
しかし、手間分のメリットは十分ある。

  • ピンク、赤:メインの土地・建物、与えられている座標(正確)、登記の依頼者、1種類目の杭
  • 黄緑、緑:2番目の土地・建物、算出した座標、登記の依頼者でない関係人等、2種類目の杭
  • オレンジ:メイン、サブ以外のもの、担保権者等々の注意を払うべき第3者、3種類目の杭
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色による整理は、直感的な把握がしやすいというか、問題用紙から何かを読み取る際の精神的負荷が減るというか、スピーディーに必要なものが拾えるようになる。
白と黒の活字の山から必要な情報を拾うよりも、視線の追尾がラクになる。

商号、本店、会社法人番号、代表者の氏名等も、後でほぼ必ず使うので出てきたときにマーカーするようにしている。

見取り図に転記する際、頭の中で「テン」を読まない

例えば189.54という数字を転記する際、頭の中で「イチハチキュウテンゴーヨン」と復唱するのが自分の中でのデフォルトなのだけれども、これを「イチハチキュウゴーヨン」と復唱するということ。
小数点より上の部分は2桁か3桁か、見取り図の中で桁数が揃っていることが多いので、小数点の位置にそんなに気を払わなくて良いことが多い。

自分はワーキングメモリとか短期記憶と呼ばれる部分に弱みがあり、こういう単純な数字の転記みたいな部分でケアレスミスを混入させやすい自覚がある。
この「テン」を省くことで、復唱する長さが減るので少し取り回しやすくなっている気がしている。

見取り図に転記する際、数字を大きめに書く

転記ミス、変数入力ミスをよくやらかすので、自分が見間違えるような小さい字で書かないように意識している。
スペースが無ければ、線を引いて少し離れたところに大き目に書く。
字が汚いということもあるが、小さい字を丁寧に書くことに消耗するよりも、そこは気を使わずにササッと終わらせて本質的なところにMPを使いたいという思いが強い。

土地:変数に入力したら、記号を囲う。異なる記号に入れる場合は付記。

自分の場合は問題文の中で与えられている座標を電卓に入れるタイミングが決まっていないので、求積や筆界間の距離を算出する段になって変数が0のままその変数を使って計算をしてしまうことがあった。
明らかにおかしい数値が出て、過ちに気付く。

そのような過ちを防ぐために、Aの座標を変数に入れたらAの周りを四角で囲うことで入力済みかどうかを確認できるようにしている。
Aの近くに座標がメモしてあっても、Aが囲ってなければ変数にはまだ入力していないということ。

自分の電卓はA~F、x、y、Mが使えるが、筆界点としてはGとかHとかF以降の数字が出てくることもある。
そういう場合には他の変数に入れることになるが、何に入れたのかがわかるようにメモするようにしている(例えばGの近くに四角で囲ったxを書く)。

xyMは使い回して上書きすることもあるので、上書きした際には前のメモにバッテン付けて、今はここの座標はxに入ってないよ、ということもわかるようにしている。
解いていく中で、自分の中で流れを把握しているので、バッテンが実際に役立つほど複雑な問題にお目にかかることはあまりないけれども、安心して変数を使うために本能的にやっている感じ。

土地:式をメモしてから電卓を叩く

A+○○.○○∠(Arg(B-A)+△△°・・・)のように式をメモしてから電卓を叩くようにしている。

打ち間違いとかが減る気がしているのと、計算進めていっておかしな値が出たときに、戻ってミスした部分を探すのがラクになる(例えば、Arg(B-A)をA-Bにしていた、など)。

解いて採点した後、前回、前々回の記録と比較する

書式の問題を解く際には、答案を残してあるし、かかった時間も記録している。
反省点、感想的なものもメモするようにしている。

同じ書式問題をグルグル回しているので、今は解いた後に前回、前々回の記録があり、反省時にそれを振り返る。
多くの場合、解答の精度は上がっていることが多いし、時間も短縮できていることが多い。
成長を実感してニヤニヤしてモチベーションに繋げる効果もある。

よく間違えるもののリストを作っておき、本番前に見返してから臨む

司法書士試験の書式でも、答練や本試験の前に見返すための要注意論点やよくやるケアレスミスをまとめたものを作っていた。
土地家屋調査士試験でも同様のものを作って臨んだ。

誰でも何度も間違えながら間違えなくなっていくものだと思うが、自分のよくやるミスについては数回間違いを繰り返した段階でリストアップし、毎回繰り返さないようにしたい。

仕上げた後に作成者でなくチェック者の観点で見返す

司法書士の仕事でもそうだけれども、作業者の視点で作ったものは、いったん完成を迎えた後に冷静な視点で見返すのが大事。
作業者の視点では「ちゃんとできているはず」という気持ちで走っているので、見えるものべきものが見えないことがある。
見返してみると、すぐわかるようなミスの一つや二つは見つかるものと思ってチェックするようにした方が良い。

全容把握にかける時間を惜しまない

書式問題で問題文を拾い読みして大枠を把握した気持ちになって部分点を狙いにいくと、基本的に惨事に繋がると思っている。
問題文を一通り読んで、出題趣旨や盛り込まれている論点の概要を自分の中で概要把握してから具体的な作業に移る方が良い。

問題によっては、ここに思いのほか時間がかかることがあるけれども、ここは時間をケチってはいけないところで、「ヤバい、時間がかかり過ぎているぞ」と焦りを生じても、それを押さえ込んで冷静さを失わずに必要な時間はかけるべき、と思うようにしている。

消しゴムに時間をかけない

初学者の頃から時間が足りない試験だと言うことはわかっていたので、オンラインのチューターに「鉛筆を消すのと答案の完成とどちらを優先すべきか?」を相談したことがある。
採点方法は公表されていないので私見だが、と断った上で「答案完成を優先した方が良い」とのアドバイスだった。

今の自分も、その方針が正しいと考える。
そもそも回答が書いてない答案は点のつけようがないので、鉛筆消すより答案を完成に近付ける方が正解だし、鉛筆がきれいに消し切れていなくても、極度にそれを気にして時間取るべきではない。

自分が試験官だったとして、鉛筆が消しきれてない正解の答案と鉛筆は消してあるが未完成の答案と、どちらの受験生に土地家屋調査士として仕事をしてもらいたいか、と考えると後者より前者だ。

土地:杭の種類は最後に書く

見取り図には出てくるが、作図すべき図面には上がってこない杭があったりするので、自分が描いた図面上の杭のみを書くために杭の種類は最後に書くようにしている。
最初の全容把握の段階で、杭の種類ごとにマーカーを分けて置き、情報を拾いやすくしておく。

例外的に、シンプルな出題で筆界点の数が少なく、全てコンクリート杭の場合には「A~E:コンクリート杭」と図面描く前に記入してしまうこともある。

ヒゲ線は問題用紙に解答用紙を重ねて線を引く

「ヒゲ線ごときで減点されてはたまらない」とLECの書式問題の解説によく出てくるので、ヒゲ線の角度にも気を払った方が良いらしい。
が、個人的にはそこにあまり手間暇かけたくない。

分度器では正確に測れる気がしていないので、分度器は疲れる。
それよりも、解答用紙と問題用紙の見取り図を重ねて透かして線を引く方が早いと思っている。

編集後記

令和4年度の本試験が令和4年10月16日に終わり、今年は択一が簡単だった年なのもあって択一は満点取れた。
択一基準点の心配をしなくて良いのはありがたい。

書式の方は、本試験前に「これならなんとか闘えるのでは?」という境地に至ることはできたものの、土地書式は時間足りず。
他の受験生の出来次第でもあるし、そもそも土地家屋調査士試験記述の採点の感じがよくわからないので、様々な予想情報を目にしてもいけてそうかどうか、さっぱりわからない。
とにかく1月を待つしかない。

せっかくある程度仕上がった書式の勘を忘れないために、本試験後も細々と演習を続けている。
少なくとも合格発表までは続ける。

今年は「土地:交点計算に着手するのをためらわない」に書いたような及び腰の気持ちがまだあった状態での挑戦となった部分があるが、来年は勝てる気持ちで臨めると思う。
そういう食うか食われるか、みたいな精神論部分が勝敗を分けることもあると思っているタイプです。

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