1.多くの人に読んでもらいたい本
(1)まず昔の自分に読ませたい
内気で外向型のようにはふるまえず、いろんな場面で罪悪感を抱いては自信を無くすことが多かった思春期の自分にまず読ませてあげたいと思った本でした(最近出版された本なので、もちろん仮定の話)。
また、少々厚い本なので手に取った後に自分が読むかどうか迷っていたら、「君なら最後まで勢いよく読める」と伝えたい。
まさに自分にあてはまることが書いてある。そして、それが劣っていることでもない、と自信が持てるようになると伝えたい。
(2)家族にも読んで欲しい
おそらく内向型ではないかと思われる娘(2歳)が、思春期あたりになって悩んでいたら勧めてあげたい。
「お父さんもそういうことに悩んだけど、君は君のままで大丈夫なんだよ」とメッセージを伝えてあげたい。
また、内向型であろう妻にも勧めたい(腰を据えて本を読むことがあまり無いようなので、実際には内容を折に触れて伝えてあげたい)。
最後に、今時点では外向型と思われる長男(4歳) にも、いつか読んで欲しい。
パワフルにいろいろなことに挑戦し、立ち止まることの無い彼に、世の中には自分とは異なるタイプの感じ方をする人達がいて、こんなふうに感じている、ということを知って欲しい。
異なるタイプの考え方を知っていることは、きっと彼の人生にとって大きな力になると思うから。
2.この本のおおまかな内容
世間一般では、内向型人間より外向型人間の方が評価されやすく、内向型人間は自尊心を傷つけられながら生きていくことも多いです。
著者が住んでいるアメリカでは日本よりその風潮が強いようですが、「トップレベルの成功者の中にも内向型がたくさんいる!内向型には内向型の良さがあり、自分達に適したやり方がある!」ということを教えてくれます。
外向型人間にとっては、「内向型人間はこう感じているのか」ということを学べる書だと思います。
内向型人間は全体の1/3~2/3ほどの割合を占めていると言われています。自分と異なるタイプの人たちがどう感じているのか、客観的に学べるのは意義のあることです。
3.原著者のプレゼン動画
それなりに厚みのある本なので、書店で手に取ると少し躊躇するかもしれません。私はAmazonから着いた際「読むのに時間かかりそう」と思いました(実際に読み始めると、最後までぐいぐい一気に読めます。特にあなたが内向型人間なら)。
1冊本を読むのには時間がかかりますが、下記の動画は19分ほどで見られます。プレゼンのテーマは、この本で語られていることの縮小版です。
この動画を観てみて興味が持てそうかどうか判断するのも良いと思います。動画が観られない場合にも、リンク先の「Script」欄で講演内容を読むことができます。
TED日本語 – スーザン・ケイン: 内向的な人が秘めている力 | デジタルキャスト
”社交的で活動的であることが何より評価される文化において、内
向的であることは肩身が狭く、恥ずかしいとさえ感じられます。しかしスーザン・ケインはこの情熱的な講演で、内向的な人は世界にものすごい才能と能力をもたらしているのであり、内向性はもっと評価され奨励されてしかるべきだと言っています。”
4.この本の中で心に留まった箇所
研究によれば、内向型の人々は外向型の人々よりも、オンライン上で自分について親や友人が読んだら驚くようなことまであきらかにし、「本当の自分」をさらけだし、オンラインの会話により多くの時間を割くことがわかっている。
(中略)
初対面の人に挨拶するのもままならない人が、オンライン上では生き生きと自分をアピールし、その関係を現実世界にまで広げたりもする。(P87)
↑これはまさしく自分のことだ、と思いました。 現実世界で必要な会話以外で会話をする相手といったらほとんど妻と子供達のみ。
ブログを始めてからはブログでいろいろ語るようになりましたし、オンライン上のお友達もできました。そして、現実世界よりも積極的に人に声をかけています。不思議ですね。
自分の内部のコンパスに従って行動する、セルフモニタリングが上手でない人々だ。彼らは自由に使える社会的行動や仮面のレパートリーが少ない。(中略)たとえ周囲の空気が読めても役割を演じることに関心がない。
(中略)
セルフモニタリング度が高い者からすれば、低い者は頑固で世渡りが下手に見える。セルフモニタリング度が低い者からすれば、高いものは日和見主義的で信頼できないと見える(P268-270)
↑上記の(中略)の中にセルフモニタリング度の高低を判定する質問があるのですが、私の場合、セルフモニタリング度ほぼゼロでした。
なるほど、確かに私は頑固で世渡りが下手です。これまでの人生でも要らぬ苦労をしました。
でも、この質問を逆に使うことで、そういうことに気をつければ世の中を生きていくのがもう少し楽になりそうだな、と思えました。
5.編集後記
全ての人間が内向型・外向型の二つに分けられるわけではなく、中間的な人々ももちろんいるわけですが、自分や家族がどちらに近いか考えることで、お互いをよりよく理解することの助けになります。
育児世代として、後半にある子供への対応の章も心に残りました。自分が内向型であったにも関わらず、引っ込み思案な娘を心配になってしまうことがあります。
でもこの本を読んだ後では、「それで大丈夫。彼女のペースで少しずつ進んでいけば問題無い。」と信じられるようになったと思います。
親からありのままの自分を受け入れてもらうことは、子供にとって大切なことだな、と思います。
コメント
こんにちは!
すごく面白い記事でした!
坂根さんの[読書]シリーズのファンになりました。
これからも楽しみしております。
>ショシ・ヨークさん
ありがとうございます!
正直、同期の方から司法書士試験に関係無い記事で反応をいただけるとは思っていなかったので、大変嬉しいです。
[読書]シリーズは不定期ですが、単なる要約にならないような記事を書きたいと思っています(上手に要約するのが苦手なだけ、ということもありますが)。
そして[読書]シリーズは、本を読み返したり、なかなか時間もかかるので、本当に気に入った本しか書く気になりません。
つまり、紹介する本は本当にオススメですよ。