[司法書士]司法書士業務とタスク管理の親和性

RTM タスク管理

平成25年合格の司法書士,坂根(@sakane0958)です。
私は今でこそ司法書士受験生,司法書士合格者向けのブログ記事を書いていますが,元々ブログを始めた契機としては,ライフハックやタスク管理のブログを書いていました。
司法書士ブログ村とタスク管理クラスタは,全然別の世界の話のように見えますが,司法書士という職業にとってタスク管理という考え方を持ち込むと,業務がやりやすくなると感じているので,シェアしてみます。

司法書士の業務の特色

まず,司法書士の業務のほとんどは,単発の作業ですぐ終わる業務ではありません。
例えば不動産登記であれば,事件の受任,事前の準備,登記申請,登記済みの処理,お客様への連絡等々,ざっと流れを考えただけでも1つの事件がかなりの時間幅を取るわけです。

また,ある程度軌道に乗っている事務所であれば,ある時点で一つの事件しか受任していないということはほとんど無いと思います。
基本的に,複数の事件が同時並行的に走っていて,それぞれに締め切りがあり,使える時間は限られている,という状況が頻繁に生じます。

業務の忙しさが,自分ががんばればどうにか回る程度なら良いですが,司法書士の仕事は自分で受任タイミングを選べる仕事では無いため,何の手落ちも無くても,むちゃくちゃ忙しくなる時もあります。
例えば,原因日からもうすぐ2週間が経過しそうな商業登記の申請,明日予定されている決済の準備,急ぎだけれども自分の裁量で進められる作業,急ぎでは無いけれども上司の確認が必要な作業等々,頭の中だけで整理しようとすると,何から手を付けていくのか考えるだけでパニックになることもあると思います。

とりあえず,前に進めるために手当たり次第に作業にとりかかると,「今本当にやるべきことをやっているのだろうか」と迷いながらやることになりますし,終わってみるまで焦りから解放されることは無いと思います。

そういう時に,全てを時間内に納められるような特効薬ではないにせよ,自分なりに納得感を持って前に進むことができるためのテクニック,又は考え方が「タスク管理」だと私は思っています。

タスク管理って何なの?

私はタスク管理とは,「やるべきことを項目化して整理できる状態にし,適切な実行タイミングを考えられるようにすること」だと思っています。
私は特にそうなのですが,1個2個のことは頭の中で覚えておけますが,数が多くなってくると手に負えません。
頭から外に出して,並べ替えたり,整理してまとめたりしたくなります。

その整理の方法についての方法論がタスク整理です。

コンテキスト

例えば,今日やるべきことをリストアップしたとして,その中には今すぐできることもあれば,外出先でなければできないことや,朝にはできなくて夜にやるべきことなど,様々なやるべき状況が背景としてあると思います(タスク管理の用語で,そういう状況を「コンテキスト」と呼びます)。

タスク管理を学び始めた当初,私は司法書士試験受験生でしたが,コンテキストという概念は私にとって受験勉強上でも役に立ったと思っています。

例えば,一問一答みたいな勉強は,電車の中や,銀行の待ち時間等の細切れの時間に,やろうと思えばさっとやれるわけですが,記述の問題を一問解くという勉強は,まとまった時間をとって,机の前でやる必要があるわけです。

そうすると,必然的に記述の問題をやれるコンテキストはとても限られている,ということがわかり,まとまった時間が取れるのならば,それは択一の過去問を漫然と解くよりも,記述問題を解く時間に充てるべきなのではないか,という判断が出てきたりします。

また,勉強できるコンテキストを考え始めると,クルマに乗っている間,耳は空いているわけだから,「運転中」というのは何か勉強しようと思えばできるコンテキストなのではないか,という考えにも繋がっていきました。

コンテキストの考え方で大事なことの一つに,「そのコンテキストにおいて実行できないタスクは,見えないようにしておく方が良い」という考え方があります。
タスクがたくさんあると気が滅入りますし,今本当はやらなければならないタスクが雑多なタスクに隠れて後回しになってしまうことがあります。
コンテキストをうまく設定し,適切に運用することによって,シャープに「今やるべきこと」をさっと見つけられるようになります。

タスクの実行順

片っ端からやっていくとしても,人間の身体は一つなので,いっぺんに一つのことしかできません。
そうすると,何からやるべきなのか,ということを検討する必要があるわけですが,これを頭の中だけで処理して適当に走り始めると,実はもっと大事なことを後回しにしてしまっていたり,ということが容易に起こり得ます。

紙に書き出すのでも,テキストファイルに書き出すのでも,何でも良いと思いますが,今々気になっていることを一通り文字にしてみて,その中から一番重要度の高いものから順に片付けていく,ということは意味のあることだと感じています。
計算を暗算でやるのと,紙に筆算で計算するのと,どっちが楽で正確かを考えると,少しは想像がつくのではないかと思うのですが,タスク管理というのはいわば筆算だと思っています。

一般人は暗算せずに筆算を心懸けた方が計算結果が正確になると思いますが,タスク管理においても,頭の中だけで処理しようとせず,外部に文字化して整理することではっきり判断ができるようになると思います。

編集後記

実際に書くまでは,もっとまともなことを書けるつもりでいましたが,書き始めてみるとグダグダでした。
なかなかうまく伝えられた気がしませんが,今では私にとってタスク管理は生活に無くてはならないものになりました。
きっと,私以外にもタスク管理を必要としている人達がいると思うのですが,そういう人達に少しでも何かが届けば良いと思っています。

参考書籍紹介

スマホ時代のタスク管理「超」入門

アナログでもタスク管理はできるのですが,やはりデジタルの方が繰り返しやタスクの使い回しの面で便利です。
スマホの登場により,タスク管理は身近で使いやすいものになり得たと思います。

この本は,「超」入門とあるとおり,タスク管理に触れたことが無い人にとっても,とっつきやすい本に仕上がっているのではないかと思います。
私の記事を読んで,タスク管理に興味を持ったら,最初に読んでみると良いのではないかと思います。

はじめてのGTD ストレスフリーの整理術

私が最初にタスク管理に興味を持った頃には,まだ「スマホ時代のタスク管理「超」入門 」は出版されておらず,タスク管理といえばGTD(Getting Things Done)という時代でした。

その頃に読みましたが,コンテキストという概念に衝撃を受けたのを覚えています。
そして,カレンダーも何となく使っていたけれども,ちゃんと使えばとても便利なツールだと気付かされたのもこの本です。

私はろくに週次レビューをしていなかったり,正統派なGTDの実践者ではありませんが,著者のデビッド・アレンが本書の中で述べているように,全てを書かれているようにしなければならない,と考える必要は無く,この本の中に書いてあることで,自分の生活が便利になることが一つでもあれば,試してみる,というくらいのスタンスから始めた方が,結果として長続きするのかな,と思います。

自分にはタスク管理が必要そうだ,と感じた方は,ぜひ一読してみると良いと思います。

クラウド時代のタスク管理の技術―驚くほど仕事が片付いてしまう!

最後に紹介するこの本は,少しマニアックな香りがします。
私はこの本の著者である佐々木正悟さんの思想にとても共鳴するところがあるので,この本を読んだ時,すぐに同じようにやってみたいと思ったものですが,人によっては「やり過ぎだ」と感じたりもするようです。

タスク管理の深淵を覗いてみたい人にオススメです。

タスク管理ツール紹介

TaskChute2

TaskChute2はExcelベースでさくさく動作するタスク管理ツールです。
特徴的なのは,時間や時刻の扱いが他のツールより細かく,しかも簡便に記録ができるところだと思います。

タスク管理をする上で特に重要な命題の一つが「この一連のタスク達は今日全部終わるのか?」という命題です。
TaskChute2は常にこの命題に明確な返答を返してくれます。
タスクを一日に詰め込みすぎると,終了予定時刻があっという間に深夜になります。
全部やらなきゃいけない気はするけど,全てがやれないとしたら,その中で特に重要なものはどれか,仮に後回しにできるものがあるとしたらどれか,苦渋の決断を積み重ねながら一日に納まるタスク量に納めていくことで,優先順位を考えた仕事運びができます。

ある程度Excelの素養が無いと使いこなすのが難しかったり,モバイルでの利用が難しかったりという面はあるものの,机に座ってデスクワークをするという状況においては,比類無きタスク実行力を発揮するツールです。
使いこなせたら,6300円以上の価値を必ずもたらしてくれるツールであると保証します。

Toodledo

Toodledo : A productivity tool to manage your tasks, to-dos, notes, outlines and lists

英語ベースなので,とっかかりで挫折しやすいとか,デザインがイマイチだとかの噂がありますが,機能の網羅性においてはToodledoを選んでおけば間違いないと思われます。
コンテキスト等の要素も使えるので,GTDとの相性も良いです。

使ってみようかな,と思ったけれども自信が無い、という方は,この本を片手に挑戦すると良いと思います。

Remember The Milk

Remember The Milk

上記のToodledoは仕事用,Remember The Milkはプライベート用のタスクの管理に使っています。
Remember The Milkは,Toodledoよりとっつきやすそうな印象を受ける反面,イマイチなところが多々あります。
日本語だと繰り返しパターンがよく壊れるだとか,スマホとの同期がイマイチな時があるだとか。

Remember The Milkでクラウドのタスク管理に慣れ,Toodledoへ旅立っていく,というのが王道パターンなのかな,と思います。
Toodledoの方が多機能で安いので,Remember The Milkに物足りなさを感じてきたら,移行のタイミングかもしれません。

ちなみに,Remember The Milkについて基本的なことを学ぶには,まずこのサイトを一通り読めば,たいていのことが書いてあると思います。

これなら毎日できるタスク管理 1から学ぶRemember The Milk:連載|gihyo.jp … 技術評論社

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コメント

  1. […] 平成25年合格の司法書士、坂根(@sakane0958)です。 以前の記事でTaskChuteについて少し触れましたが、この記事ではTaskChuteのみにフォーカスして突っ込んだ内容を書いてみたいと思います。 […]

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