Ingressとは、いかなるゲームか? – 人の行動を変えるゲーム

Ingress_logo Ingress

仕事も遊びも全力投球な私が、久々にハマったIngressというゲームを紹介します。
2つ、3つIngress関連で書きたいネタがあるので、読者の皆様への説明も兼ねて。

私がIngressを始めた当初はちょうどiPhoneのIngressアプリがリリースされたタイミングで、ブログ等でもIngressの記事を見かけることが増えてきたと感じていたところでした。
「話題になっているくらいだから、面白いのかもしれない。ちょっとやってみようか」と、お盆休みの暇つぶしになればいいか、くらいの軽い気持ちでインストールしたところ、ハマってしまったというわけです。

まずはこの記事で「ゲームの概要」を語ってみようと思います。

現実世界を舞台にした陣取りゲーム

このIngressというゲームはGoogleが作ったゲームで、現実世界を舞台にして、緑陣営と青陣営に分かれて壮大な陣取りゲームをします。
日本だけでなく世界中にプレイヤーがいて、国をまたいだイベントが行われることもあります。

陣地を囲う拠点となる「ポータル」というものが、世界各地の様々な場所に設置されています。
ポータルは神社だったり、石碑だったりするのですが、アプリのマップ上で見るとこういう感じで光輝いています。

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Ingressのプレイヤーはアプリを通じて、一般人とは違う目で世界を見ることになります。
それまで行ったことも無かった神社が、自分にとって重要な意味を持つ場所になったり。
これはなかなか面白い体験で、大げさに言えば小さな「パラダイムシフト」です。

スマホのGPSを使うゲーム

ゲームの仕組みとして面白いのは、ポータルを攻撃したり、ポータルからアイテムを取得したりするためには、実際にポータルに近付く必要があるところ。

Screenshot_2014-10-31-19-09-25

↑この図の黄色い円が自分の影響範囲(約40m)。

原則、ポータルにあれこれするためには、ポータルを自分の半径40m圏内の影響範囲内に入れる必要があります。
また、相手のポータルを攻撃する場合、武器のレベルが上がると遠くまで攻撃できるようになりますが、最高レベルでも数百メートル先まで届くようなものではありません。
つまり、あちこちのポータルへ足を運びながらプレイするゲームです。

この制限によりポータルは均一な存在ではなくなり、個性が生じ、戦略性が出てきます。
プレイヤー数が多い場所にある誰もがアクセスしやすいポータルは、味方が強化してくれやすい一方、敵の標的にもなりやすい。
その逆に、周りには自分しかプレイヤーがおらず、アクセスし辛い場所にあるポータルは、守りの拠点として重要になってくる、というわけです。

将棋やチェスと比較してみる

将棋でもチェスでも、様々な種類の駒を組み合わせてゲームが成り立っています。
Ingressにおいては、個々のポータルの地理的配置、プレイヤーごとの情報格差(地元のポータルには詳しくても、遠征先のポータルは手探り)、プレイヤーの動きやすさ(社会人か学生か、移動手段の有無など)を活かした戦略を考えると、とても奥深いゲームではないかと思います。

ポータルをマス、プレイヤーを駒と捉えると、マスも駒も一つとして同じものはありません。
マスが増えたり、駒が成長したり、若い駒が入って来たり、味方の思うように動いてくれない駒がいたり。
とても有機的で、ワクワクするゲームだと感じます。

人の行動を変えるゲーム

ここまでで、ゲームの一番のベースになる部分を語ってみましたが、それに付随する味付け部分がまた気が利いていると思います。
人の感じ方、行動の優先順位、そういうものを動かす力を持っています。

出不精な人を外へ出させる力がある

Ingressを始めた人の中から、よく「運動になる」「ダイエットに良い」という話が出ます。
これは事実、そういう効果があると思います。

私はポータル密度の少ない田舎に住んでいるので、プレイの前提はクルマでの移動が主になりますが、それでも歩く距離は増えたと思います。
実際、Ingressを始めてから今日までの約80日間で、プレイのために110Km少々歩いたようです(クルマでの移動距離は含まれていません)。

私などは元々インドア派を自称する人間で、自宅でパソコンを触らせておけばいつまでもそのまま一日家にこもっていても平気な人間です。
そんな人間ですが、経験値が稼げそうな状況があれば朝はパチッと目が覚めます。
そしていそいそと外へ出かけ、真っ暗な神社でスマホのライトを頼りに石段を登ったりする。
日が昇る前の真っ暗の神社だのお寺だの、下手な肝試しより怖かったりするのですが、それでも行けてしまう誘引力。

出かける目的が「健康」であれば、ここまで強いモチベーションは発生しないのではないでしょうか。
Ingressという、ある種不純な動機であれ、外に出るようになったり、たくさん歩くようになったり、早く起きるようになったりするのは、良い変化なのではないかと思います。

地元の神社や史跡の見え方が変わる

ポータルは、基本的にプレイヤーがポータルを見つけて申請します。
それがGoogleに承認されると、ポータルとしてアプリの地図上に生えます(今は4~5ヶ月くらいかかるようです)。

ポータルとして承認されるには基準があり、神社やお寺などの宗教的施設、郵便局や駅などのほか、歴史的・教育的なものも承認されやすい、とされています。

身近なポータルが多いほど、プレイの幅も広がりますし、地元の新人プレイヤーも脱落しにくくなるので、ポータルを増やすのは良いことです。
私は道を歩いていても無意識に「ポータル候補」を探してしまい、いろいろなものがポータル候補として目にとまるようになりました。

その結果、今まで足を踏み入れたことのない場所へ積極的に行ってみるようになりましたし、地元の知らなかったスポットを新たにたくさん知ることになりました。
Ingressを始めていなかったら、こういった神社や史跡について知ることもなかったと思うと、不思議な感じがします。

地域興しにも繋がるかも

ポータルにはIngressプレイヤーを惹きつける力があります。
それを町興しに繋げようと考える人がいて、こんな企画があったりします。

Ingressを観光振興に 岩手県が初の試み 「エージェントのみなさん、ポータル申請しに遊びに来て」 – ITmedia ニュース

ポータルに近付かないとあれこれできないので、ポータルがたくさんあるところには自然とIngressプレイヤーが集まってきます。
ポータルが少ないと、そもそもゲームにならず、レベル上げのためだけに都会のポータル密集地に遠征するというのもよく聞く話。
逆に言えば、田舎であってもポータルがたくさんあれば他の地域からIngressプレイヤーが遠征に来るようになるかもしれませんよね。
都会から人を呼び込みたい地方の自治体がそれに目を付けるのは自然な流れだと思います。

地方から見たIngress

また、ポータルに個性があると先ほど書きましたが、田舎は都会とは違う戦略的役割があります。
都会では日々、ポータルの取り合いが盛んだそうですが、田舎ではプレイヤーが少ないこともあって、どちらかの陣営が優勢で、ポータルの色が固定化されていることがよくあります。

例えば、島根では緑の側がかなり優勢です。ちなみに広島では青が強い。
県民性が出るのか、劣勢な地域では新人がなかなか育たないからか、わかりませんが。

IntelMap

ここで、劣勢な他地域の戦況をひっくり返そうと思えば、現地で孤軍奮闘している自軍と連携をとったり、現地で自軍のプレイヤーになってくれそうな知人を引き込む勧誘活動をしたり、現地の自軍の新人の成長をフォローする育成活動をしたり、戦況をひっくり返すための抜本的な対策をとる必要があります。

そういう長期的視点も持ってプレイすると、なかなか戦略的なゲームに思えてきませんか?

他のプレイヤーとの交流

特に他のプレイヤーと積極的に関わっていかなくても、自分のポータルが攻撃されたり、逆に味方に強化してもらえたり、折に触れて他のプレイヤーの存在を感じる機会があります。
これを気持ち悪いと感じるか、面白いと感じるか。
私はこのIngressの絶妙なルール設定と相まって、なかなか面白い部分だと感じています。

レアアイテムも消耗品

絶妙なルール設定の一つに、アイテムがあります。
Ingressにもレアアイテムは出てきますが、Ingressのレアアイテムはあくまでも消耗品に過ぎず、それを手に入れたプレイヤーがやたらめったら強くなるようなものではありません。
むしろ、Ingressにおける強さは、レベルとプレイヤー自身の経験、戦略、行動力、そういったもので左右されると感じています。
ルールがよくできているので、レベルが低いプレイヤーであってもうまく動けば重要な動きをすることができますし、高レベルプレイヤーは自然と後進を育てるような作りになっています。

話がそれましたが、他のプレイヤーとの駆け引きがこのゲームの醍醐味だと思います。

一般的なゲームでは、先ほど挙げたレアアイテムだったり、謎解きだったり、「ゲームの制作側との対話」という部分が大きいような気がします(これは私が最近のゲームをあまりプレイしていないので、そう感じるだけかもしれませんが)。
Ingressでは、たまにアイテムの出現率の変更等あるものの、基本的なルールはシンプルです。
シンプルであるが故に、戦略の練りがいがあります。

編集後記

この後にアプリのリンクを貼っておきます。
Android版もiPhone版もあります。

私のこの記事を読んでIngress始めてみようかな、と思った方に二つアドバイスを送ります。
一つは、エージェント名に本名や普段使っているハンドルネームを使わないこと。
二つ目は、Google+アカウントはIngress用に新規に取得したアカウントにすること、の2点です。

このゲームは位置情報を他のプレイヤーに晒しながらプレイする面があるので、よほどの覚悟が無い限り、個人が特定されないような設定で始めることをオススメします。
具体的な手順等、下記のしゅうまいさんの記事が詳しいです。

Ingress(イングレス)を始めたい女性のための安全な開始方法 | しゅうまいの256倍ブログ neophilia++

Androidアプリ

Ingress

制作: NianticLabs@Google
価格: 無料
平均評価: 4.3(合計 198,817 件)

posted by: AndroidHTML v2.3

iPhoneアプリ

Ingress

無料
(2014.11.02時点)
posted with ポチレバ

さて、「レベル8になるまでがチュートリアル」と言われていますが、私は現在レベル7です。
レベル8もだんだん見えてきたので、これからどういう世界が開けてくるか、楽しみです。

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[女神転生]Android版「真・女神転生」のTips – 流れるような一日を

司法書士試験の筆記試験後、合格発表までの間の気晴らしに久々にやったゲームの記録です。
中学生の頃に一度プレイしたことがあります。その復刻版というか移植版。

ちなみに私はゲームのやり込みにはそれほど執着は無い方かと思います。
レベル99まで上げないと気がすまないとかの執着はありません。
一度クリアすれば一応OK。
ゲームでも費用対効果を考えてしまうので、クリア後は手軽にできそうなオマケ要素はやってみますが、面倒臭そうなやり込みはスルーです。

Ingressの場合、どうなりますやら。
レベルが高くなるに従ってやることが変わっていくゲームであること、瞬発力でなく継続力や戦略を求められるゲームであること、他のプレイヤーとの交流があるゲームであること等から、結構やり込んでしまうかもしれません。
やり込み要素についても、様々なプレイスタイルを許容する、懐の深いゲームであるところも魅力の一つです。

Ingressの秋 親子で外へ繰り出しましょう | ファミリーマネジメントジャーナル

ファミリーマネジメントジャーナルに寄稿したIngress記事です。
子供と一緒にハイキングがてら、地元の山にポータル申請しに行った記録など紹介しています。
ポータルが生えたら、また登りにいきます。

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