お葬式の帳場を経験しました。

meeting with pc lifehack
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島根の司法書士、坂根(@sakane0958)です。
妻の祖母が95歳で亡くなり、その際にお葬式の帳場のお手伝いをさせていただきました。

実質的な初経験

以前にも、実家の方では帳場の手伝いをしたことがあるような記憶がありますが、当時はまだ若かったこともあって本当に「お手伝い」という感じだったように思います。
(香典帳に書き込む人がいて、その人のフォローをするくらいのこと)

今回は作業の分担でなく、全体をカテゴリごとに分け、それぞれについて各人が一式作業したので、一通りの流れもわかりました。
昔は紙の香典帳がメインだったと思いますが、今は香典帳用のエクセルシートなんかがあるのですね。
一人一台パソコンを使って、じゃかじゃか入力していきました。

具体的な作業内容は、地域によっても異なると思うのであまり詳しく紹介しても仕方が無いかな、と思っています。
作業の最中に感じた「一人でやるという選択肢」や、振り返ってみて感じたことを書いてみます。

複数人でやるのが良いのか、一人が責任持ってやった方が良いのか?

私は帳場の経験はほぼ無かったのですが、タイピングだけは他のメンバーより速かったので、入力だけは進捗が速く終わりました。
そこで「身内が帳場をするのであれば、金銭の信頼的なところはskipできる。金銭チェックを省略できるとしたら、身内が一人で担当する方が効率的なのか?」という考えが頭をよぎりました。
実際、内袋の処理方針が担当者ごとに違ったため、クロスチェックの際に検算がなかなか合わなかったり、チェックに時間がかかったりしました。

でも、自分の中でも最終的には「帳場は複数人でやるべき」という結論に落ち着きました。
複数人でやる場合のデメリットとメリットを比較してみましょう。

複数人で担当するデメリット

クロスチェックが煩わしい

今回使用したエクセルシートでは、10件ごとに金額の合計が出て、最終的な合計金額も自動的に算出されます。
10件ごとに金額をセルフチェックしておけば、入力ミスや数え間違いも早い段階で手を打つことができますから、そうそう大きな間違いには発展しないと感じました。
金額が合わないと全員が帰れず、遅くまで作業をする、という話もよく聞きますが、帳場を身内が担当すれば、金額が合わなくても喪主の裁量で終わらせることもできるのではないか、と思ったり。

方針が伝わっていないとブレる

今回で言えば、内袋の処理方針。
喪主である義父が「白紙の内袋は捨ててもかまわないが、そうでない内袋は取っておいてくれ」と言うので、私はそれが通常のルールなのかな、と思って捨てずに外袋と一緒に並べていました。
私のクロスチェックをしてくれた方は「内袋は捨てるものだ」という方針で作業していたらしく、私の担当分のチェックをしている際、内袋の金額も重複して計上してしまい、なかなかチェックが合わずに困る、という事件が起きました。
内袋の処理方針によるものだということが判明してからはスムーズに進んだようなのですが、こういう「麻雀のローカルルール」みたいに複数の正しいやり方がある部分については、最初に意識合わせをしないと、混乱の元になります。

経験と運用によって回避が可能な問題ではありますが、仮に一人で作業するのであれば、そういう混乱は起こりません。

うまくやらないと番号が重複する

これは、エクセルシートが複数人での分散入力を想定していなかったためであり、それに対しての現場での対処があまりうまくなかったからです。
エクセルシートには10件ごとに「ユニット番号」とでも呼ぶべき頭番号が1~65までありました。
それとユニット内の1~10の番号を使って、香典袋に「1-1」とか「65-10」とか記入していました。
エクセルシートの開発者が想定していた仕組みとしては、この番号がシリアルナンバー的に重複のない一意の番号として機能するはず。

ただ、今回は4人で分担して作業する都合上「町内は1~、会社関係は20~、・・・」という感じでざっくり分けて始めました。
このボリューム感の見積りがあまり正確ではなかったため、ある担当者の入力が想定より多くなり、他の担当者とユニット番号が被ってしまう部分がありました(上の例で言えば町内が20ユニット以上あった)。

ちなみに私が考えた対策案としては、帳場を複数人で担当するのが通常であれば、1~65の数字だけで振り分けるのではなく、担当者ごとにABCD等のアルファベットを割り振って、各人がA1-1やB1-1から始めるとボリュームの見積りが要らなくなるし、重複を気にしなくて良くなるのかな、と思いました。

この問題も、複数人でやるから生じる問題であって、一人が黙々と片っ端からやるのであればシリアルナンバーの重複は起こらないはずです。

複数人で担当するメリット

先にデメリットを述べましたが、私はメリットの方が大きいと今では思います。
やはり帳場は複数人で担当するべきだと思います。特に、ボリュームがある場合には。
それでは、メリットを述べてみましょう。

早く終わる

一人でやるより断然早く終わります。
香典帳が仕上がるのが一週間、二週間後でも良ければ一人でぼちぼち作業しても良いのかもしれません。
しかし喪主も早く整理された情報が得たいでしょうし、一人の人に多大な責任を負わせたくもないのが通常だと思います。

また、身内は香典帳以外にもやるべきことがあるので、こういう作業を一人で抱え込むべきではありません。
やはり近所の方に協力をお願いして、短期間で済ませてしまうべきです。

これは、シンプルにして最大の理由だと思います。
クロスチェックの時間がもったいないなど、反論にならないくらいのメリットです。

どこの誰なのかがわからない香典を減らせる

帳場担当を「近所」「親族」「仕事関係」等の得意分野のバラエティを考えて選ぶと、人間関係の死角が少なくなります。

名字しか無い香典もしばしばあります。
出す側は「わかるだろう」と思ってのことでしょうが、帳場は困ります。
喪主が常に帳場にいてくれればその都度聞けば良いのですが、喪主の仕事は帳場だけではありませんので、いつでも聞けるわけではありません。

三人寄れば文殊の知恵ではありませんが、4人いれば喪主が居なくても9割方は判明します。

不正防止

そもそも信用のある人が帳場に選ばれているので、真面目な人が多いです。
不正防止というより、むしろ「潔白の証明」のためと言うべきかもしれません。

今回あったケースでは、「空っぽの香典」事件がありました。
他のメンバーのところで出てきたものでしたが、すぐに「空っぽだこれ」と周りのメンバーに報告していました。
その後「入れ忘れだろうから、とりあえず電話しようか」という話になり、その場で当人に電話する流れになりました。
他のメンバーが証人になってくれるので、当人との話もスムーズです。

一人で作業していたら、こういう場合どうするのが正しいのでしょうか。
喪主も忙しいでしょうに、イチイチ喪主に報告しに行くのでしょうか。
集計まで終わってから「この香典袋は空っぽでした」と報告するのでしょうか。
複数人でやるより面倒臭い事態になりそうです。

というわけで、ある程度のボリュームがある香典の帳場は、やはり複数人でやるべきだと思いました。

編集後記

喪主から帳場を依頼される人は、「真面目で信頼できる人」と評価されていると思います。
例え仕事が早くても、お金をちょろまかすような人には任せないでしょう。
そういう意味では、数時間を要するなかなか負担の大きい作業ですが、やりがいのある作業なのかな、と思いました。

ちなみに今回自分が選ばれたのは「身内だから」という部分が大きいのではないかと思います。
責任も生じるし、作業時間も長いので、近所の方々にとってはかなりの負担でしょう。

それから、司法書士の商売的な観点もあるのではないかと。
帳場を手伝うことで、事務所のお付き合いの関係もわかるようになるでしょう。親戚の関係も同様。

また、この商売は信用が大事です。
そういえば、義父も地元のお葬式の帳場をよく頼まれていました。
私が今回帳場を手伝うことで、地元の帳場担当の方々に顔を覚えてもらったり、少しずつ信頼を得ていって欲しい、という側面もあったかもしれません。
私もこれ以降「帳場を手伝ってもらえないだろうか」とお声がかかるよう、精進しなければなりません。

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