1.午後科目は時間との闘い
答練で早々と退出する人のように、実力が十分にあって余裕のある人はいいでしょうが、私はそこまでの領域には達しませんでしたし、たいていの受験生は午後科目では「時間が足りない」感を持っていると思います。
しかし、バランス良く択一と記述の基準点を越えていくためには、時間配分を避けて通れません。
力技で実力をつけ、頭から正直に問題を解いていっても十分時間に間に合うように磨き上げる、という方法もあるかと思いますが、それはとても遠回りだと思います。
時間をかけずに走り抜けるところ、きちんと時間を確保して考えるべきところがあります。自分の解答時刻を記録、分析して最適化していく方が近道だと思います。
私の場合の時間配分を紹介してみます。
2.私の時間配分
時間(分) | 時刻 | |
民民保 | 18 | 13:18 |
供託書士 | 7 | 13:25 |
商登択一 | 15 | 13:40 |
不登択一 | 35 | 14:15 |
不登書式 | 45 | 15:00 |
商登書式 | 55 | 15:55 |
チェック | 5 | 16:00 |
※表示が煩雑になるので載せていませんが、不登択一、商登書式については中身をもう少し細かく区切って時間配分を構成しています。チェックポイント間が長いと、どうしても遅れているのかどうかがわかりづらくなってしまうので。
毎回の答練の度に、問題用紙の表紙に「科目、時間、時刻」をざっと表にして手書きし、科目の切り替わりごとに時刻を記録し、振り返りをして少しずつブラッシュアップして作り上げた時間配分です。
私に最適化されていますので、誰にでもあてはまる時間配分ではありません。しかし、時間が足りないと感じている方は、少なくとも自分の時間配分を作ってみて最適化を試みるべきだと思います。
自分としては、もっとマイナー科目に割く時間を減らし、不登択一に時間をかけたいという思いがありましたが、マイナー科目をその域まで磨き上げることができず、多くの肢を検討しなければならないことが多かったので、比較的得意科目感のある不登法で時間を稼ぐほかない、という時間配分でした。
どの科目もギリギリの配分なので、ふと迷い過ぎて思考がループに入ってしまうと、商登書式の添付書類が適当にしか書けない、という事態がすぐに発生します。
何度も経験しているのですが、この時間が無い時の焦りは思考力をてきめんに奪っていきます。
姫野講師もブログで繰り返しおっしゃっていますが、「しっかりと時間を残すこと」はまず最初に取り組むべき記述対策だと思います。
姫野司法書士試験研究所 お前は本当に記述式問題が苦手なのか?
最高の記述対策は時間をかけること。そのために択一の解答時間を短縮する。
ちなみに、記述の答案が最後まで書けないと、自己採点の際に「時間が無かったのだから仕方ない」と復習がおざなりになる、という追加の悪効果もあります。
3.本試験での実際の時間配分
受験後に後悔したくなかったので、本試験での第一目標として「時間配分をクリアする」というものがありました。
バランス良く解いて基準点をクリアしなければなりませんし、時間切れでもどれかの科目の力押しで合格できるような実力も私にはありませんでしたので、全科目で実力を発揮できなければ合格はおぼつきません。
成績がどうであれ、全科目で実力を出し切った答案を書く。そういう気持ちでした。
本試験後に各科目の時間配分を確認してみると、こういう時間配分になっていました。
時間(分) | 時刻 | |
民民保 | 18 | 13:18 |
供託書士 | 5 | 13:23 |
商登択一 | 13 | 13:36 |
不登択一 | 42 | 14:18 |
不登書式 | 45 | 15:03 |
商登書式 | 47 | 15:50 |
チェック | 10 | 16:00 |
(1)商登法のボリュームが少なかった
商登書式の近年の傾向として、前半後半に分けて書かせ、書くボリュームが多く時間がかかるというパターンが多かったので、商登書式の問題の検討を終えた時は「こんなんで良いの?」という印象を持ちました。
ともかくそのボリュームの少なさのおかげで、目標時間配分は楽々クリアできました。ラッキーだったと思います。
(2)チェックの時間で不登書式の添付書面欄を見直せば良かった
心残りはチェックの時間が多めに余ったのに、不登書式の添付書面欄の見直しをしなかったこと。
不登書式は添付書面欄の記載方法の形式が去年までとガラリと変わり、困惑しました。
そこで、「細かく見てはいられない。クリティカルなところだけを拾おう」という方針でざっくり書いたのでした。
マークチェックしたり、書式の問題を読み返したり、書式の答案を上から順に眺めてみたり、ということをして時間を過ごしましたが、もったいなかったな、と今になって思います。
答練の時から、「自信の無い問題は後から戻ってこれるように折り目をつけておこう」というような習慣をつけておけば、ここで余った時間を有効活用できたのかもしれません。
そもそも答練では時間が余ることが稀だったのと、余った時間で1点でも上げよう、という気力が残っていないことが多かったので、致し方ないのかもしれませんが。
もし来年また司法書士試験の勉強をしなければならないとしたら、余ったチェック時間の有効利用もきちんと考えていきたいと思います。
4.おまけ
私の妻も受験を経て司法書士(もう10年以上前の平成13年合格)、になっているので受験についてのアドバイスを求めたことがあります。
しかし、もしかして愛のムチなのでしょうか、参考にならないことが多い。
彼女に記述や時間配分について訊くと、
・記述は好きだったのであまり苦労したことは無い
・時間が足りなくなったことはほとんど無い(答練にはよく遅刻して行っていた、とも)
という強者っぷり。天才肌なのかな、と思いますが、彼女の経験を参考にすることはあきらめました。
ちなみに彼女も何年も受験しているので、短期間で要領よく勉強を終わらせられるタイプではありません。当時は長期戦覚悟で毎年毎年受験していたそうです。
合格した年も、自分が受かっているかも、という自覚は無かったらしいです。
合格時の自己採点は午前26、午後30。
当時は基準点という用語も無い時代だったそうですが、合格がわかった後、予備校の講師から「正直、お前が受かるとは思っていなかった」と言われたそうです。記述のデキが良かったんでしょうね。
そういう意味では、今年午前択一が基準点ギリギリで午後の方が成績が良く、記述での上乗せ頼みな私の成績と通ずるものがあります。
似たもの夫婦ってことでしょうか。それとも補助者をしながら兼業受験生しているとこういう傾向になってくるんでしょうか。
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