島根の司法書士、坂根(@sakane0958)です。
もう受験から離れて一年以上経ったことになります。
受験生当時の記憶も薄れてきますし、今年の本試験の問題も伝聞情報でしか見ていないので、試験勉強の記事はあまり書かない方がいいのかな、と思い始めています。
ただ、今朝読んだ記事にとても共感したので、考えたことを書いてみようと思いました。
「平成26年度択一基準点発表を受けて」:皆川編集長 Next-Stage/ウェブリブログ
”でも、こういった新しい傾向です
みたいな感じの問題に飛びついたらだめですよ。”
”仮に、過去問が100%確実に正解できてしまい、他にやるべきことがないというような例外的な受験生でない限り手を広げる行為はお勧めできません。”
難しい問題も解けなければならないという思い込み
学校のテストでは、基本的に「必要とされる知識」しか出題されなかったと思います。
テストを受ける側の学生としても「出題されるからには、ちゃんと勉強してれば解ける問題だ」と考えて問題に取り組むでしょう。
解けなければ「自分が勉強不足だったのだ」と思うでしょう。
しかし、同じ感覚で司法書士試験に向かうのは、間違いです。
試されているのは知識の量や正確性だけじゃない
毎年毎年、過去問に無い問題や難しい問題、誰も知らないような先例が出題されるのは、何もいじわるや嫌がらせではないはずです。
もちろん、何らかの目的があってやっているはずですが、その目的は何か?
仮に単純に知識の量や正確性を見たいのであれば、個数問題を増やすことで達成できるはずです
そうすれば、満点続出で優劣が付けられないという事態を避けることができ、合格者を絞り込むことができます。
突発的に出題される難しい問題は「知識以外の能力」を見たいと考えるべき
しかし例年、個数問題の割合は一定の割合を超えることは無く、アイウエオの組み合わせで肢を切れる形式の問題がメインです。
私は、試験官が試している能力は、問題の重要度の濃淡の判断や、試験勉強の俯瞰的な戦略を考えられる能力だと思います。
これは、本試験然り、問題が過去問になった後の来年以降の受験生然り。
本試験
本試験で見たことの無い問題、難しい問題に当たったとき、動揺するかどうか。
「しまった!ここは勉強してない!」と動揺するのか、「いや、他の受験生も解けないはずだ」と冷静になれるか。
どちらのパターンでも、その問題の正誤はかわらないかもしれません。
しかし、その後に解く問題には影響することがあるでしょう。
私の推測が当たっているかどうか知りませんが、試験官だって手間暇かけて解けない問題を用意しているのですから、少なくとも何らかの意図があると考えるべきでしょう。
そして、それは単に得点をバラつかせたい、というだけの目的ではないと思います。
過去問になった後
司法書士試験の本試験の問題は、本試験が終わったら「お疲れ様でした」と用済みになるものではありません。
司法書士試験の受験生にとって、過去問を解くことは一般的、基礎的な勉強であるため、多くの受験生が次年度の受験に向けてその過去問を解きます。
過去問を解くとき、過去問分析をするとき、「こんな細かいことまで勉強しなきゃならないのか。たくさん勉強しなきゃならないな」と思うのか。
「これはイレギュラーな問題だ。解ける人は解けるけど、多くの受験生は解けなかっただろう。基礎が終わって余裕があったら手を付けよう」と参考にはしつつも、優先順位は後にして考えるのか。
ここは、受験戦略として大きな差が開く部分だと思います。
そういう意味では、試験官の出題は当年の受験生のみならず、次年移行の受験生の能力を試すふるいにもなっている、と言えると思います。
司法書士試験は競争試験
このブログでも何度も繰り返している私の持論ですが、司法書士試験は競争試験なので、100点を取る必要は無い試験です。
試験が難しかった年には、点数が低い中で上位数%に入れば良いのです。
私は受験戦略を考える上で、こういう三角形をイメージできるかどうかが大事だと思います。
三角形の横幅が解ける人数、高さが問題の難易度を示していると思ってください。
まず対策すべきは、下からです。
AやB、Cの問題が万遍なく解けるようになってから、はじめてDやEのレベルの問題の対策に着手すべきで、A~Eまでの過去問に万遍なく労力をかけるのは遠回りです。
手当たり次第に勉強しても受かりません
「遠回り」と書きましたが、本音を言うと「合格しません」と書きたいところです。
一年で勉強できる時間、労力は無限ではありません。
選択と集中、「今やるべき勉強は何か?」そういうことを考えず、単純に「全分野の過去問を回していれば、いつか合格できる」という思考放棄、根性論の勉強法で合格できるほど、甘くない試験だと思います。
自分の頭で「今、本当に何をすべきなのか?」と考えるのです。
「自分の弱点はどこか?」具体的には、「他の受験生が解けるのに自分が解けないのはどの分野か?」そういう思考で弱点を潰していくのが、まずは最初にやるべきことだと思います。
難しい問題やレアな論点に時間を割くのは、自分の弱点をフィックスし終えてからにするのが良いでしょう。
司法書士試験は「努力しさえすれば誰でも合格できる」と受験予備校などでは言われていますが、努力の方向を間違ってはいけません。
地図を持たずにやみくもに全力で走り回っても、間違った場所へ最速で辿り着くだけです。
まずは自分の現在位置を確認し、進むべき道を見定めて走り出しましょう。
編集後記
今年の午後択一の基準点が低かった理由の一つとして、記述がイレギュラーな論点だった、ということが挙げられると思います。
択一から解いていくパターンなら影響無かったでしょうが、記述から解く受験生も多数いたでしょう。
記述を見て動揺した後だと、択一の結果にも影響しただろうと思います。
動揺すると想定以上に時間も喰いますから、冷静でいられたかどうかは合否を分ける分水嶺の一つになったでしょうね。
もちろん、そればかりが原因ではなかろうと思いますが。
さて、今日は突発的に書きたくなったことを思うまま書いてみました。
こういう記事は筆が乗って書きやすいものですね。
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