委任状に押印された実印と印鑑証明書の印影の比較は、司法書士なら毎日のように行う作業だが、いくつかの流派がある。
ここではライトパネル法をオススメする。
ライトパネル法
このようなを光源を準備して、印鑑証明書、その上に委任状等の印影をぴったり重ね、印影が合致するか確認する。
大きさの違いや形状の違いは一発でわかる。
印影の欠け(印鑑が物理的に欠けている、押印時の朱肉ののりが悪かった)を検出するのには向かないところもあるが、下記に紹介する残像法と併用すればそれも克服できる。
ライトパネル法以外の流派も、併用することでより便利になるので紹介してみる。
それぞれ特徴がある。
平面照合法
委任状と印鑑証明書の印影を近くに並べて見て、同じ印影かどうかを目視で確認する方法を平面照合法と呼ぶらしい。
最も簡単で直感的な方法。
明らかに字体が違うとか、印鑑の大きさが全然違うような場合にはこの方法でも十分わかる。
ただ、「印鑑が違うことの確認」には使えるが、「同一の印影かどうかの確認」にまで使えるかと言えば微妙。
残像照合法(残影照合法とも言う)
委任状と印鑑証明書を2枚ぴったり重なるように重ね、上の方の一枚を素早くめくったり戻したりしながら、残像にズレがあるかどうかを確認する方法。
残像法は、熟練すれば結構な精度で印影の違いを見分けられるようになる。
下記の柴崎智哉司法書士の動画がとてもわかりやすい。
残像法は、コツさえ掴めば便利な方法。道具が無くてもできるし、印影のかすれや潰れも検出し易い。
ライトパネル法と組み合わせて使うと最強。
折り重ね照合法
印鑑証明書の印影を半分に折って委任状の印影に重ね、輪郭の大きさも比較しつつ印影も確認する方法。
印影の確認において、「字体は同じだが輪郭の大きさが違う」パターンは結構ある。
セットで作った実印、銀行印、認印など。
それらを見分けるには有用な確認方法の一つと感じる。
”もしそこで微妙に違う感じがするぞ、と思った時は 折り重ね照合 とゆーのをやります。 伝票や書類のハンコの部分を斜め半分/に折って 届け出印鑑紙のハンコと重ね合わせます。 そしてパタパタと伝票を素早くめくったり重ねたり”
重ね透かし法
委任状と印鑑証明書を重ねて、ぴったり重なるかどうかを見る方法。
光源が無いと難しいが、精度については他の方法より確実。
ライトパネル法はその光現問題を解決する。
空中重ね透かし法
蛍光灯を光源にしてやってみるとわかるが、空中でやるのはなかなか大変。
まっすぐに押印されていないことが多いので、ぴったり重なる配置は斜めになるし、印影がぴったり重なるようにしつつ、二枚の紙の間に隙間ができないように微調整するのは意外に難しい。
慣れが必要な方法。
残像法との同時使用はまず無理だと思う。
窓ガラス重ね透かし法
日中、窓ガラス上で印鑑証明と委任状を重ねることで印影照合を行う重ね透かし法。
”何か違う気がする。ほとんど同じなのだが、苗字の二文字目の最後のハネの部分が明らかに違う。そこで、二枚を重ねて窓の所に行き、お日様にかざして照合してみた。印鑑照合にはいろいろな方法があるが、私はいろいろと試した後でどうしても納得が行かないときには、最後はこの極めて原始的な方法で照合することにしている。”
ライトパネルを購入するまでは、自分もこの方式がメインだった。
窓ガラスが平面なので、紙を重ねた後の微調整がやりやすく、印影をぴったり合わせるのがスムーズ。
昼間であれば光量も充分なのだが、日が暮れると使えないのがデメリット。
拡大鏡照合法
虫眼鏡等で拡大して、細部を比較して照合する方法。
個人的には虫眼鏡まで使ったことは無いが、彫りが細かい印鑑の場合には有効なケースもあるかもしれない。
編集後記
元々の記事は2016年に書いたものだが、当時紹介していたライトパネルはAmazon等で入手できなくなっていた。
商品リンクを変更するのをきっかけに、この度リライトしてみた(2021年11月6日)。
2016年当時は残像法には苦手意識があったが、今では残像法でも印影照合できるようになった。
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