[司法書士試験]単純な暗記試験と思ったら大間違い – 複数案件を管理する事務管理能力も試されている

島根の司法書士、坂根(@sakane0958)です。

勉強を始める前や、初学者の段階では「司法書士試験は暗記試験だ」と思うかもしれません。実際私もそう思っていた時期がありましたが、実は暗記さえできれば良い試験ではありません。これは自信をもって断言します。

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合格に必要な知識の層はフワフワしている

試験合格を富士山登山と考えると、知識をミルフィーユみたいに地層を一枚一枚少しずつ積み重ねていけばいつか目標とする高度に達するというようなものではないのです。覚えては忘れ、覚えては忘れ、といった論点が無数にあり、高度としては上がったり下がったりする動的な暗記が占める割合が大きいです。

積み重ねる勉強もあるけど、それは受験生の「常識」

例えば、根抵当権ってどういうものかとか、区分建物の要点とか、書式の基本的な解き方とか、そういう一度学んで理解すればそうそう忘れない知識ももちろんあります。でも、それは勉強の量とか質とか以前の話で、第一線に残っている受験生には「常識」の知識になります。そういう地層を積み重ねるような勉強は当然身に付いているものとして、その上に動的な暗記ものがあるわけです。

いかにその動的なフワフワしているゾーンの中で覚えていられるものを増やし、維持しつつ本試験当日にピークを持って来るか、ということを考えねばなりません。

下りのエスカレーターを登り続けるイメージ

いろんな例えがあり得ると思いますが、一年間かけて下りのエスカレーターを延々登り続けることをイメージしてみて下さい。エスカレーターより早い速度で登り続けないと、目的の高度には辿り着けない。もし登るペースが遅かったり、しばらく休んでいたりすると、元いたところよりも低いところから再スタートすることもあり得る。

私も子どもが生まれてドタバタした年にはろくに勉強ができず、落ちついてから再開したときにはいろんなことが抜け落ちていて、悔しい思いの中再スタートしたことがありました。

エスカレーターは1本じゃない

試験科目が11科目あるので、この下りのエスカレーターは11本あります。身体は一つしかないので、一度に1本しか登れません。そして最終高度もスピードもマチマチ。本試験の日にバランス良く高みに登っているように、バランスを取りながら登る必要がある。

11科目の試験科目は、皿回しに例えられることもあります。この11皿を回し続けないといけない。手を止めてしまったら、かなり後退した地点からやり直す羽目になる。クセの違う11枚の皿、どの皿も回転が止まってしまわないように目を配る必要がある。

試験科目の中には、実務ではほとんどタッチしないと思われるものもありますが、実務では複数の案件を並行して少しずつ進めていくスキルも求められます。内容も攻略法も異なる11科目をバランス良く仕上げていくスキルが試されるのは、司法書士の実務能力を試す意味もあるのかな、と感じます。

コツコツタイプこそ、このまま続けていれば受かるのか見極めるべき

僕はどちらかというと集中力や瞬発力で勝負するタイプではなくコツコツと淡々と積み重ねるタイプの勝負をする人間なので、同様のタイプの人は注意した方が良いです。先述のように下りのエスカレーターを駆け上らなければならないので、忘却のスピード以上にガンガン勉強しないとダメです。勉強時間ものものをそれなりに注いでいたらゴールに少しずつ近付いているような気持ちになってしまいがちですが、自分のペースでの勉強を惰性で続けていることに気付かないと、いつまでも同じようなところでウロウロする羽目になります。

答練や模試の偏差値とか合格率的な指標が年を追って上がっているかどうか、歴の長い人は検証してみることが大事です。上がらない人、上がっていない現状に対してどうしたらいいかわからないという人は諦める勇気も必要と思います。

午後試験で暗に問われている能力

午後試験は絶対的に時間が足りません。これは意図的にそのように問題が作ってある、と感じます。それが意味するところは、単純に知識のみを問いたいわけではなく、使える時間を踏まえた上で時間内に解き終える能力を試しているのだと思います。

時間をかけるところとかけないところのメリハリ、字をきれいに書くことよりもまずは書き終えること(何も書いてなければ点のつきようがない)、とかとか、仕事力というかバランス力というか、そういうものが求められていると思います。知識があるだけの辞書みたいな人間が求められているわけじゃないんですよ。

仕事でも、11あるプロジェクトのうち、2つ3つが完璧にできててもダメなんですよ。ほぼほぼ全体が及第点に整えられるバランス力が必要です。「それができない人は司法書士に向いてないよ」と問題と時間設定から言われているわけです。

司法書士試験は競争試験

司法書士試験は「普通の人がコツコツ普通に勉強して、普通の人ならできるレベルのひととおりをマスターできたら受かる」という試験ではありません。司法書士試験は競争試験で、10年以上挑戦し続けているような人もゴロゴロいるし、「これで受からなかったら諦める」という覚悟の下に仕事を辞めて専業受験生になり、最後のチャレンジとして背水の陣で臨んでいる人もいて、そんなキチガイじみた勉強を続けてきた人達が人生をかけて挑戦し、上から数%が通る試験です。「今年、何があっても受かるんだ!」と本気で合格を目指している受験生は皆、この下りのエスカレーターを目を血走らせて登っています。

「必死にやってたわけではないが、ラッキーで受かりました」という合格体験記を見たことはありません。どの合格者も「これまでの人生で一番がんばった」という趣旨の内容になっているはず。

編集後記

この編集後記、実は何度か書き直したりしているんですが、なんか説教臭くなってしまうんですよね。「今年の司法書士試験に絶対合格する!」って宣言するなら、それに見合った行動をしろよ、とついつい思ってしまうんですね。怒りにも似た苛立ちというか。

でも、自分も司法書士試験に挑戦し始めた頃は同じような感じで思っていたし、人のことをとやかく言えないわけですが、本当に司法書士試験に挑戦しようと思うなら、早く目を覚ましてもらった方が本人にとっても、応援してくれている周りの方々にとっても良いことだろうと思うわけです。

もしそこまでの覚悟が無いんだったら、早い段階で諦めた方が良いし、そのための情報提供をしているつもりです。とはいえ、本人からしたら余計なお世話ですけどね。
↓は編集後記を書き直したりしているうちに見かけたツイート。

誰しも、結局そのようにしか生きられない人生を歩んでいるんだと思います。それぞれの選択は必然なんだし、人生万事塞翁が馬。

そもそも司法書士になる人生が幸せとも限らないし。個人的には、司法書士業界のこれからについて順風満帆とも思ってないです。AIに取って代わられる職業として、上位にランクインすることは多いですし、定型的な仕事は今後必要性が薄れていく可能性が高いことと思っています。
自分の中で、資格の寿命として長くあって欲しいと思う部分がありますが、その一方でそれが長くあるかどうかわからないのにも関わらず近年もそれなりの受験人口があることに不思議な気持ちを抱きます。自分が受験生だった頃にはシンギュラリティ云々みたいなことも知らなかったし、司法書士という資格の賞味期限みたいなことは考えもしなくて、単に受かることだけ考えていたので、今の受験生もそういう感じかもしれませんが。

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