[司法書士試験]兼業受験生の勉強スタイル

択一解答用紙 司法書士試験

平成25年度司法書士試験合格の坂根(@sakane0958)です。

私の場合、合格まで6年もかかっているので、私の勉強法は自分でも効率の良い勉強法とは思えません。
その一方で「働きながらの合格はすごいですね」と言われることもあります。
兼業受験生の合格率は専業受験生と比べてかなり低いのでしょう。

そういうレアな立場の経験談として需要はあろうかと思うので、私の勉強スタイルを紹介してみます。

過去問中心、長期記憶の強化をベースに

択一が弱点

私の弱点は、まず択一の点数不足でした。
基準点をまずは越えられるようになること、それが最初の目標にして一番の壁でした。

過去問重視

最近の受験生の流行りは、テキストでインプットを繰り返すという勉強法が主流のようです。
しかし、私の場合は過去問によるアウトプット重視の勉強をしていました。
過去問を解くのは時間がかかり過ぎるので非効率だ、という意見が多いですが、私の場合はどうしてもインプット重視の勉強は性に合いませんでした。
問の形で問われないと、盛り上がらないというか、自分にその知識が身についているかどうか判定ができない。

とにかく問題を解いてみて、すんなり解ければ○、正誤はわかるが曖昧な部分があって解説を確認したいものは△、間違ったら×を、肢ごとに日付とともに記録していました。
解説を読んでその時はわかった気になっても、次にもまた間違えてしまう問題は、自分の中に何か足りないものがあるということです。
インプット重視の勉強では、そういう弱点を客観的に見つけることができないと感じていました。

ちなみに、過去問知識だけで基準点は超えられる、というのが私の信条です。
競争試験ですから、他の受験生が解けない問題を解ける必要は無いわけです。
受験生なら誰でも触れたことがある最大公約数が過去問だと思うので、過去問ベースの勉強は王道だと思っています。

コンパクトに全範囲の過去問を一周する

ただ、兼業受験生という時間的な制約下では、全ての過去問を回そうとすると、一周に何ヶ月もかかってしまいます。

コンパクトに全体をざっと一周するために活用したのが、「2012年合格目標:直前択一過去問絞込み講座通学(生・同時中継)」というLECの海野講師の講座でした。
これは海野講師が初級講座でも紹介していたメソッドを運用するための講座です。
そのメソッドは、全範囲に触れられ、かつコンパクトに一周できるような過去問セットを抽出し、それを何度もグルグル回す、という直前期用の勉強法。

馴染みの過去問であれば、解くのにかかる時間も短く済みますし、全範囲をザッと復習したい時にも短い時間で確認することができます。

ちなみに私は2013年合格ですが、2012年の講座のものを1年以上使い続けたことになります。
個々の過去問の重要度は、1年でそうそう変わるものでもないので、これで問題無かったと思っています。

抽出版に移行するのは過去問を2周くらいはこなしてから

ちなみに、過去問をあまり解いてきていない状態で最初から抽出版の過去問に取り組むのはあまりオススメしません。
仮に私が今の経験を持ったまま過去の勉強開始時点に戻れるとしたら、全範囲の過去問を科目別にそれぞれ2周ほどは解いてみてから抽出版を回すようにすると思います。
その方が最終的には近道だと思います。

科目の雰囲気が掴める

一つには全範囲を一周するだけで、結構な量の知識というか、その科目の雰囲気みたいなものが身につくからです。
直近5年分とか10年分だけを切り取って回すのとはちょっと違うものがあります。

頻出肢を早期にマスターできる

もう一つにはある科目の全範囲を一周することで、頻出肢の印象が形成されます。
頻出肢は過去問の中に嫌というほど繰り返し出てくるので、2周する間に嫌でも頭に残ると思います。
そして、他の受験生も必ず正解してくる肢でもあります。
また、よく問われるということは重要な知識でもあります。

この頻出肢の把握が遅くなると、不利だと思いますので、さっさとマスターしておくのが良いかな、と。

私の失敗談

ちなみに、私は受験初年度から「全範囲の過去問を解くのは時間的に難しいので、回す過去問は10年分を回数多く解くようにしよう」という戦略で攻めてしまい、失敗していました。
2年目、3年目になって「やっぱり全範囲解かないとダメか」と一つ一つ科目を潰していく、という回り道でした。

苦手科目であっても、全範囲を一周すると成績が上がるものです。
そういう意味でも私は過去問はベースになる勉強法だと思いますね。

ベースになる知識は長期記憶に置く

2012年に上記の過去問セットを手に入れた後は、直前期でない平常時からそのセットをグルグル回しました。
曖昧な知識を薄く広く身に付けるよりも、まず確実に解ける常連の過去問を増やし、それを楔(くさび)にして少しずつ知識を広げる作戦です。
グルグル回しているうちに、解説への書き込みや、派生論点の書き込み等も増えていき、択一の点数もだんだん上向いていきました。

全範囲の過去問を相手にしながら解いていた数年前には、直前期には整理して暗記した事項も、翌年必要になった時には知識から抜けてしまっていて、またイチから覚え直したり、無駄だな、と感じたことがありました。
過去問を回す範囲を絞ることで、もうバッチリな分野と何回やっても苦手な分野が自分の中ではっきり見えてきます。
そうなると、直前期の詰め込み暗記の時期に、どこに注力すべきかも見えてきます。

勉強する時間帯は平日の早朝、昼休みと土曜日。直前期には半休も。

毎日の勉強

上述した過去問演習を毎日の朝と昼休みにそれぞれ25分ずつ解くことを、基礎トレーニング的にやっていました。
30分でなく25分なのは、ポモドーロ法という集中法を使っていたためです。
時期が進むにつれて、朝も昼休みも少しずつ時間を伸ばしていきました。

夜に勉強するという選択肢については、乳幼児が家にいる環境ではなかなか難しかったので3,4年前に断念しました。
逆に夜は勉強できないものと割り切って子供と一緒に早く寝てしまい、朝に早起きして勉強するようにしていました。

この割り切りによって、毎晩の晩酌も可能になり、夫婦揃って気兼ねなく呑めるようになってQOLも改善した気がします。

兼業受験生は長期戦も視野に入れて粘り腰

私は、兼業受験生は長期戦の覚悟は必要だと思います。
「今年合格するぞ」という決意は毎年必要ですが、心が折れるような無理はいけません。

「今年の合格率は30%くらいかもしれない。でも、来年は40%にできるかもしれない。再来年は50%には上げられるだろう」というような粘り勝ちも、兼業受験生の考え方としては、あって良いと思います。

もう数学の勉強から離れて久しいので計算過程に自信がありませんが、上記の合格確率で3回勝負すれば、8割弱の勝率になるのではないでしょうか(合格できないのは、初年の70%、次年にその70×60/100=42%、さらに3年目に42×50/100=21%となります。つまり残りの79%は3年のうちに合格できる)。
私は働きながら3年で8割なら悪くない勝負だと思いますが、どうでしょう。

年明けから土曜日に答練

年が明けるとWセミナーやLECの答練が始まるので、土曜日は答練と復習で一日潰れます。
これを契機に、土日のうち片方は勉強に使わせてもらう、というスタイルになりました。
それから本試験までは、土曜日の子供達の世話は半々でなく、妻一人にお願いする形になりました。
妻は実家に子供を連れて行くなどして凌いでくれていたようです。

答練の意義については、以前記事にしたことがあります。

[司法書士試験]答練の意義

振り返ってみると、答練の復習はできるだけ時間をかけないように心懸けていました。
解説講義は聴かないし、解説も目を通すものと通さないものを選別していました。
解いている最中に「後で解説を確認したい」と思った問題には印を付けておき、復習時にはその問題と間違った問題だけ解説を読みました。

答練の復習に時間を割き過ぎて、過去問演習の時間が圧迫されると、それは却ってマイナスだと思っていました。

直前期に半休を利用

公開模試等でも合格判定をもらえるようになり、今年は勝負をかけたいと思ったので、今年は直前期の火曜日と木曜日に半休をもらえるよう、職場と交渉しました。
やはり、平日の朝昼と土曜日だけでは記述の対策や、暗記項目の整理、弱点分野の手当などの時間が足りないと感じたためです。

仕事へのインパクトが少なく済むよう、忙しくなりがちな月曜日と金曜日を避け、水曜日で調整ができるよう、火曜日と木曜日の午後を選択しました。

それでも周りへの負担も大きかったと思いますし、自分自身の仕事も忙しくなりましたが、結果としては良い選択だったと思います。
まとめて2週間なりの有給を取得するより良かったと思う点を整理してみます。

仕事へのインパクトが少ない

これは分かり易いと思います。
何日も仕事を留守にすると、大規模な引継ぎも必要でしょうし、仕事に与える影響が大きいです。

次の半休に何をしようか、検討する時間がある

半休の合間に「ああ、やっぱりここは手当をしておかないとマズい。次の半休にはこれをやろう」という気付きが生まれることがあります。

まとまった時間の最中は勉強に集中したいので、立ち止まって考える暇が無いのですが、立ち止まって考えている時にこそ一番必要な気付きが出てきたりします。

細切れの時間の方が集中しやすい

人間、一日与えられてもなかなか一日の全てを勉強に注ぐのは難しいです。
「ちょっと息抜き」などとすぐに休憩に走ってしまって後悔したりしますよね。
そういう集中力の管理も、一日より半日の方がやりやすいと思います。

旧ブログの参考記事

勉強方法については、旧ブログの受験生時代からいくつか書いてきているので、リンクを貼っておきます。

[司法書士試験]答練の意義

[司法書士試験]答練の意義

答練は、何のために受けるのか、目的を意識して受けないと時間の浪費に繋がると思います。

[資格勉強]ポモドーロで勉強時間を増やす

[資格勉強]ポモドーロで勉強時間を増やす

時間を細切れにすると、集中力をコントロールしやすくなります。

[司法書士試験]択一過去問用の解答用紙を準備する

[司法書士試験]択一過去問用の解答用紙を準備する

過去問中心の勉強を効率的にするための工夫です。振り返った時、「これだけやったんだ」という自信にも繋がります。

[資格勉強]Studyplusの週次レポートを転送して情報共有する

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「人の目」を意識することは、モチベーションの管理に役立ちます。
また、通信だとライバルを身近に感じることができないデメリットがありますが、こういう場で同じ資格に向かってがんばっている人と友達になると、ライバルとして刺激になります。

私にとって「佐々木正悟」という人はどういう人か

私にとって「佐々木正悟」という人はどういう人か

[2014/02/03追記]
私の勉強習慣の構築において、佐々木正悟さんに触れずに通るわけにはいかないのですが、うっかり忘れていました。
社会人の勉強の成否は習慣化にかかっています。いかに毎日コンスタントに時間を積み上げていくか。
佐々木正悟さんは、きっと私と同等以上の面倒臭がり屋だと思うのですが,そういう人が語る習慣化の仕組みには、やはり強い説得力があるのです。

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コメント

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