[司法書士試験]兼業受験生の戦略

Evernote

島根の司法書士、坂根(@sakane0958)です。
この度、読者の司法書士受験生の方からメッセージをいただいて、久々に司法書士試験の記事を書いてみることにしました。

こんな方に向けた記事です。

  • 仕事をしながら勉強している兼業受験生
  • なかなか成績が伸びない
  • 司法書士試験を諦める、という選択肢は無い

自分の経験からしか話ができないので、過去の自分の姿でもあります。

弱点から潰す

明確な弱点があるのなら、まずそれを足切りラインを越えられるところまで伸ばします。
これには二つの意味があります。

①苦手があっては受からない

試験の配点上、苦手科目を抱えたままで基準点をクリアすることは容易なことではありません。
合格者の多くは致命的な苦手科目は残していないと思います。
その方が近道です。

得意科目勉強する方が楽ですけど、逃げていても苦手科目は得意になりません。

②苦手科目の方が早く成績が上がる

80点を90点にするよりも、30点を50点にする方が楽です。
みんなが解けるのに自分が解けなかった問題というのは、「ちょっと勉強すれば簡単に解けるようになる問題」か「簡単ではないが解けないと話にならない重要論点の問題」かのどちらか。

苦手科目のあぶり出し

答練等の偏差値を参考にすると良いでしょう。
答練で偏差値50以下なら苦手科目の可能性高いです。
問題数が少ない科目だとブレも大きいですが、そこは臨機応変に判断しましょう。
偏差値なんて見なくても、苦手科目なんてきっと自分でもわかっていることとは思いますが。

少々口が悪い表現をしますが、偏差値50は有象無象の受験生達が到達している水準です。
合格者はそこから頭一つ浮かび上がらないといけないので、まず偏差値50越えられるようにならないと、話になりません。

択一の苦手科目

私は過去問をグルグル回しました。
過去問の解説で知識の確認をするようにして、それで足りない時に基本書に戻ります。
本当に重要なことは、解説に必要十分に書いてあります。

書式がダメなら、特訓する

集中して書式に取り組む期間を設けて、一気に全体像を掴むのが良いです。
択一ほど難しい論点は問われないので、択一がある程度できるようになっていれば、短時間で書式は克服できるはずです。

所要時間と得点のバランスがよい解き方パターンを研究する。

ミスなく漏れなく解けるような解法パターンを組み立てても、それに3時間かかるのであれば話になりません。
少々ミスはあっても失点が許容範囲内に収まり、時間もそれなりに収まる、という流れを作り上げます。

短期記憶も活用する

自分がよくやるうっかりミスは記録しておいて、答練や本試験の前に一読します。
忘れがちな登録免許税なども、一緒に確認。

長期記憶と短期記憶の使い分け

「これ、どうしても覚えられないので整理しよう」と時間をとって苦手な論点の整理をすることがあると思います。
そういうものにぶち当たる度、毎回ゼロベースで整理すると無駄なので、一度整理した知識は再利用できるように整理しておきます。
私の場合、紙で整理した物はかなりの確率でどこかへ行ってしまって2回目に再利用できなかったので、後半はEvernoteで整理していました。

参考までに一つ当時のノートを紹介しておきます。
画像をクリックするとWeb版のEvernoteでノートが開きます。

Image

このノートはあくまで情報整理の方法の一つとして紹介するものです。
受験生時代に作ったノートであり、内容の正確性については保証しませんので、それを踏まえてご覧下さい。

なお、大事なのは「再利用できるように整理しておく」ことであり、紙の管理でもきちんと整理ができればOKです。
逆にEvernoteを使うことで管理に時間がかかり過ぎるのであれば本末転倒。
受験生にとって最も貴重な資源である「時間」を無駄にしないようにしてください。

目の前の課題と将来、本試験までに潰しておくべき課題を分けて管理する

ノルマとでもいうべき目の前の勉強。過去問やるとか、書式の問題を解くとか。
そういうノルマ的な勉強をしている最中に「そういえば、あれ(派生論点、関連分野)も復習しておいた方がいいな。ほとんど忘れてる」というような「やった方が良いこと」を思いつくことがあると思います。

この「やった方が良いこと」は、思いついたときに着手するのではなく、メモしておいて別次元のものとして管理します。
あとで時間が取れたら対処できるように、まとめておく(そんな時間が取れる日はやってこないかもしれませんが、それでも良い)。

これは、目に付く端から「やった方が良いこと」に移ると、脱線しまくりで本線が進まなくなり、体系的な知識習得に支障が出ることがあるからです。
また、ノルマのスケジュール管理も難しくなります。

いくらでも時間が使える立場に無い以上、本試験までの残り時間の使い方を考え、何をいつまでに何回やるか、実現可能なスケジュールを立てて、ある程度はそれに従った勉強をこなす必要があります。
頻度の脱線は、あっという間にこの実現可能性をぶち壊します。

特に、「長期記憶におくべき基本的な知識」がしっかり固まっていない間は本線を重視し、あまり脱線しない方が良いと思います。
重要な論点はどうせ本線をグルグル回る内に出てくるのですから。

仕組み化する

課題の準備

「とりあえずこれをやっておいたら勉強が前に進む」というものを準備します。
自分の場合は書式より択一が足を引っ張っていたので、択一過去問でした。
過去問を解くよりも基本書を読む方が効率良く勉強できるタイプの方も存在するので、タイプに合わせて選択しましょう。

習慣化

毎日、決まった時刻に時間を確保します。
私の場合は早朝と昼休み。

まとまった時間でなく細切れ時間の積み重ねで勝負するのだから、「毎日切らさずやる」という部分は徹底します。

折れない心を持つ

「今年合格する」つもりで毎年受験する

答練や模試で合格判定が一度も出ていなくても、直前期に伸びることだってあります。
今まで一度も午後試験が時間内に解けたことが無いとしても、火事場の馬鹿力が出て本番ではうまくいくかもしれません。

とにかく、今年の本試験で「まぐれでもいいから合格できる可能性を少しでも高めるために、残り時間でできるだけのことをやる」ことを考えます。
まったく手当のできていない科目があれば、重要だと思うところだけでもザッとさらってみるとか、書式をまともに解いたことがない状態であれば、不動産登記と商業登記とそれぞれ一問ずつでも解いてみて、どういうことが問われるのかだけでも知っておくとか、そういうこと。

「今年無理だと思ったヤツは、来年も同じことを言う」By 根本講師

合格する前の前の年だったと思います、ファイナル答練の解説で根本講師が言っていた言葉。
ファイナル答練の時期ですから、直前期の話。

今年は無理だ。来年に期待しよう。
もしそういう気持ちになっていたら、今年受験を止めなさい。
来年も受験を止めなさい。
再来年も受験を止めなさい。
今年無理だと思ったヤツは、来年も同じことを言う

この言葉は、当時諦めムードになりかけていた私の心にとても響きました。
こうして、数年経った今でも取り出せるようにしてあるくらい、この言葉に感謝しています。

直前期の苦しい時にあきらめたら負け

直前期、「間に合わない」と心のどこかで思っても、そこで勉強の手を緩めたら「負け」です。
来年の本試験前にも同じことを繰り返します。
根本講師の言葉のとおり。

満足のいく勉強ができて本試験に臨める年なんて、今後も回ってこないと思った方が正解だろうと思います。
兼業受験生であれば、司法書士試験の受験以外にも仕事のこと、家庭のこと、いろいろなことが降りかかってきますから、来年が今年よりも勉強に適した一年になる保証なんてどこにもないのです。
むしろ、今年が最後の受験になるかもしれない、こんなに勉強して直前期を迎えられるのは今年が最後かも、と思って踏ん張りましょう。

参考:

5分でOK!「未来の私に仕事をさせる」術:日経ウーマンオンライン【自分が変わる!生活が変わる習慣心理学】
”「未来の自分はいまの自分よりも優秀」なだけではなく、「未来の状況はいまよりベター」であり「未来にはいまよりもたくさん時間がある」と思い込みやすいのです。 (中略) ただし「未来は今よりよくなっている」のは全部錯覚に過ぎません。明日の同時刻になってもやっぱり時間は不足していて、上司はやっぱり態度が悪くて、自分の能力は変化していないというのが現実のはずです。だからこの「未来は今よりよい」という感覚を頼りにして仕事を先送りにするのは意味がないのです。”

でも、合格できなくても諦めない。

もう一つ大事なことは、不退転の覚悟で臨んで不合格でも、諦めないことです。
兼業受験生で受験に挑戦し続けるって、そういうことだと思っています。

来年もまた挑戦できることが兼業受験生のメリットでもあります。
「こんなにやってダメなのか」とがっかりするでしょうが、がっかりで元々。
少しずつでも合格率を上げて、何回でもチャレンジできるのが兼業受験生の闘い方です。

司法書士試験の出題は単純なパターンになっていないので、難易度や問題と受験生の相性がある程度あると思っています。
特に、ギリギリ合格レベルにひしめき合っている人たちはそう。

いったん合格レベル付近まで実力がつけば、あとは運待ち状態。
仮に合格率30%まで実力が達したとして、3年受験すれば6割以上の人が合格する計算です。
(合格率30%で3年受験して合格できない人は、0.7×0.7×0.7=0.343。
残りは1-0.343=0.657)

参考:私以外にも「運待ち」について言及しているTさんの記事

★~Tの戯言その1~兼業受験?専業受験?どっちがいいの? Next-Stage/ウェブリブログ
”●合格レベルに達した後は、多少運が必要・・・つまり、今年不合格だったとしても、既に合格レベルには達しているので、後は「運待ち」って感じなのだろう。とわかっちゃったからです”

編集後記

もう司法書士試験の現役を離れて久しいので、記憶に頼って曖昧なことを書くのもいかがなものか、という思いもあり、私のブログでは司法書士試験関連の記事はフェードアウトしてもかまわないかな、と思っていました。
この度、読者の司法書士受験生の方からメッセージをいただいて久々に書いてみることにした記事です。
今後の勉強の助けになれば幸いです。

関連記事

[司法書士試験]兼業受験生の勉強スタイル | 流れるような一日を

今回書いた記事よりも、具体的な部分にフォーカスした感じの記事です。
ちなみに2013年11月23日公開なので、今よりも受験生時代の記憶がフレッシュな時期に書いています。

[司法書士試験]苦手分野の底上げを重視する – 合格への最短経路を走るべし | 流れるような一日を

効率面から言っても、合格という観点から言っても、苦手分野から取り組むべきです。
ゼロから学ぶ際にはまず民法から学ぶべきでしょうが、一通り全範囲のインプットが終わっていて、アウトプットの際に得意と苦手がはっきりわかるようになっていたら、苦手分野からやりましょう。
苦手分野を先送りする理由はありません。

[司法書士試験]記述で総合合格点まで巻き返した私の記述対策を紹介します。 | 流れるような一日を

記述はそれほど難しい論点が問われることがなく、ひっかけ論点も数が知れているので、大して時間をかけなくても点数アップが望めます。
特に、うっかりミスによる失点が多い人は、答練・模試や本試験の前にちょろっと確認できる物を準備するのをオススメします。

書式のうっかりミスを長期記憶に頼って改善するのは非効率で、メモと短期記憶で対処するのが賢いやり方です。

[司法書士試験]過去問派vs.テキスト読込派 | 流れるような一日を

私は過去問派ですが、同期の@40さんはテキスト読込派です。
自分のタイプに合わせた勉強方法を見つけることも大事なことです。

コメント

  1. りゅうた より:

    アメーバブログで紹介させていただきました。司法書士補助者兼受験生です

    迷惑でなければブログでたまに紹介させて下さい

    • 坂根 より:

      コメント、ブログでの紹介、ありがとうございます。
      紹介Welcomeです。
      りゅうたさんのブログのURL、また教えてください。

  2. りゅうた より:

    こんにちは。

    ブログのURLです。

    http://s.ameblo.jp/rainxxx1119/entry-12163120391.html

    ぜひまた紹介させて頂きます^ – ^

    • 坂根 より:

      早速ありがとうございました。
      不安な気持ちとの折り合いをつけて、勉強を続けなければいけないので大変だと思いますが、がんばってください。

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